1995年7月25日発売
敗けいくさの日々が女子供や物言わぬ生きものたちの上へ、どのように降りかかって来たか-。“日本軍もまた各地でそうしてきた”略奪と残虐の実情-。忘れられない記憶が、戦後を生き延びた母たちの無念の叫び、鎮魂の祈りとともに語り出される…。
ある日僕らの音楽の先生が言った。ビートルズの歌を作ったのは、ジョン・レノンやポール・マッカートニーではないのだよ、と。時は1968年、僕は13歳だった-。ビートルズについて書かれた小説、麻薬中毒ミステリ作家の危ない独白…。英語圏で一番人気の文芸誌「グランタ」から選りすぐった新鮮な5篇。
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった-その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。
長・谷内の娘が失踪。公園の記念碑の台座の裏で死体となって発見された。四人目の犠牲者だった。疑惑の眼差しが谷内の部下で不倫相手の陽子にふりかかった。「黄色いカナリヤ…キイワードは黄色いカナリヤ」陽子の部屋にかかった謎の電話とベっドの上に置かれたカナリヤの死骸。何を意味するのか…。追いつめられた陽子に、カナリヤの謎を解く一通の手紙が舞い込んだ。恐怖の罠。ドンデン返しの妙。愛と哀しみと憎悪を描く、長編サスペンス推理の力作。
白樺林の奥、広大な敷地に建つ由緒ある全寮制の男子校-私立天王寺学院。厳かな雰囲気漂う礼拝堂、すべてをとりしきる軍隊なみの寮会…世俗から隔絶されたようなこの学校に、ある日、とんでもない転校生が現れた。それが加藤雅臣-すらりとした長身、切れ長の鋭い目、そして端正な顔立ちとは裏腹のルーズな服装。非常識で傲慢で傍若無人で、二言めには「うるせえっ犯すぞ」-憐れ、その欲望の対象となった新任教師、芹沢…。
『俺の姉貴の初恋の相手には、超可愛い彼氏がいた…』-美形だけど鈍ちんの基と、さわやかスポーツ青年二階堂ラブラブな二人の間を姉思いの熱血火の玉小僧がじゃまをする。学園内が認めるカップルに破局が迫る。