1995年8月20日発売
連続殺人の犠牲者は、みな雛人形を抱えていた。名人人形師の遺作という五体の人形には、どんな秘密が隠されているのか。日ごろ子どもに手習いを教える異色の同心いろはの左近は、この謎をどう解く。推理小説の手法も鮮やかな表題作をはじめ、般若面をつけた生首の怪を追う『鬼面三人組』、刺青を彫った死体ばかりが盗まれる『美しき白鬼』など、巨匠の抜群の小説技巧を示す初期捕物帳七作を収録。
いかに厳重に見張られていても、巧みに家を抜け出してゆく美少女〓@49A3@、媚術に翻弄される五六。一方、孔子の使いとして費城に赴いた公冶長は、意外な裏切りの存在を知る。邪な少正卯一味に攪乱される孔子一族の危機。春秋の世を戦国の世に踏み込ませていったのは誰か-。東洋の房中医学にも分け入る、驚異の第5巻。中島敦記念賞受賞。
劇作家V・ハヴェルが、幽囚の遍歴の旅から妻へ宛てて書きつづけた特異な記録文学。現チェコ共和国大統領ハヴェルは、かつて社会主義政権下で反体制運動家として逮捕され、四年余の囚人生活を余儀なくされた。執筆行為を禁じられた獄中で、不条理と闘いながら、愛妻オルガへの手紙に自己表現の機会を得た作家が赤裸につづる、人生論、芸術論、哲学論も兼ねた話題の書簡集。
時は万延元年、1860年。日米修好使節団が咸臨丸で太平洋を渡った。勝海舟、ジョン万次郎、福沢諭吉…幕末史に登場する多彩な人々に混じって尊攘派の水戸藩士・上条健吉とニンジャ・為次郎が乗船していた。小栗豊後守の刺客・上条とサムライになりたかったニンジャ・為次郎、ふたりの目的は違っていたが西部の大平原が彼らの運命を変えた。
最愛の妹・幸菜の死を契機に、忠之は甥・千幸を引き取る。しかし、冷めた視線の千幸に、忠之は戸惑うばかりだった。そんな時、忠之の経営する会社が何者かに乗っとられる。途方に暮れる忠之を励ます千幸-お互いに強く魅かれはじめた二人の行き着く先は、楽園なのか、それとも…。小林蒼の描く、究極のイノセント・ワールド。