1995年8月発売
伝説の男ジェイスン・ワーシングがこの世に生まれる遙か以前ー銀河帝国の首都キャピトルでは、人工冬眠薬ソメックが人々の関心を集めていた。ソメックを投与された人間は数年ごとに睡眠と覚醒を繰り返し、ほとんど永遠に生き続けることができるのだ。だがこの偽りの不死が、大いなる悲劇をもたらすことになろうとは…。長篇『神の熱い眠り』の背景となった壮大な宇宙史の全容を、数々の逸話を通じて描きあげた名品集。
女だって城砦ノ太守になれるー野心を胸に秘め、縁談を断わって城砦を飛び出したテルガー城砦ノ太守の姉セラ。男まさりの彼女はやがて無法者たちを従え、近隣の集落を襲撃しはじめる。ある日、竜の声を聞くことができる少女の噂を聞いたセラは、この少女を味方に引き入れようと奸策をめぐらすが…“反逆の女太守”が引き起こす事件を軸に、南ノ大陸の探険を続けるピイマアの活躍などを描く、人気シリーズ正篇第七弾。
聖騎士スパーホークーエレニア国の女王エラナの夫にして、剣と魔法を駆使して王国守護にあたる異能の戦士。かつて世界を統べる力を持つ宝石をめぐって神とさえ対決した彼の名は、世界じゅうに鳴り響いていた。その彼のもとに大帝国タムールから救いを求める使者がやってきた。超常的な力がからんでいるらしい帝国内の騒乱を鎮めてほしてというのだが…ベストセラー作家が贈る波乱万丈の新シリーズ、いよいよ開幕。
若い医師の夫婦、デイヴィッドとアンジェラは、ヴァーモント州の平和な町バートレットの病院に高給で引き抜かれた。だが、現実のバートレットは理想の町どころではなかった。病院のもと院長は、何者かに惨殺されており、病院の駐車場では連続レイプ事件が起こっていた。しかも、デイヴィッドの担当の入院患者が原因不明の病気でつぎつぎに急死していく。やがて夫婦を襲う悪夢のような事件とは…話題の医学サスペンス。
青い海に囲まれた楽園バハマで雇われ船長を務めるニックは、ある日、弾痕も生々しい無人のヨットを発見した。残された海図の記入は“殺しの島”という名前の島で途絶えていた…。やがてニックは米国議員の子供を麻薬中毒から更生させるための航海に出る。だが海には卑劣な罠が待ち構えていた。船と友を失い、恋人も行方不明になったニックは、事件の黒幕が“殺し島”に住むことを突き止め、島を戦場に変えると誓う。
いかがわしいグリーティング・カードを作って暮らしているアート・ドッジは、離婚歴のあるプレイボーイ。双子の美人姉妹に惹かれた彼は、自分も双子だと偽って、姉と妹に取り入っていく。そして二人の心をつかむと、彼女たちが相続する莫大な遺産までも手に入れようとたくらみ始めた。ところが、一人二人は問題だらけ。果たして、彼の計画は成功するのか。
彼女は、恋愛で結ばれたエリート・ビジネスマンを夫に持つ高校教師。子供が二人いて、快適なアパルトマンに暮らしているが、結婚生活に失望している。いわゆる主婦の役割を期待されて、買い物、食事の支度、子供の世話、その他の家事に明け暮れるうち、生きる意欲や、外界への好奇心が、自分のなかで錆びついていくのを感じるしかない。自由と自立のなかの幸福を志向していたはずなのに、そういう状況にはまり込んでしまうとは。自らの軌跡をたどって、彼女は、幼少時、思春期、学生時代、恋愛の時期、結婚後を語る-「女の子」として、「女性」として、どう生きてきたかを語る。『シンプルな情熱』三部作で話題を呼んだフランス文学界注目の女性作家が、自立への意欲と結婚生活への失望を描く、自伝的小説。
昭和18年10月、佐世保海兵団の講堂に「瀑竜」訓練部隊の隊員150名が集結していた。彼らは巡洋艦や駆逐艦で魚雷を扱う者、海軍航空隊の整備員のなかの寄せ集めのグループだった。訓辞が始まった。諸君の手にゆだねられる高速雷撃艇「瀑竜」は、高い技術を持つ兵士と一撃必殺の破壊力を持つ兵器による少数精鋭で当たれば、敵の新鋭艦も恐るに足りない-「瀑竜戦記」と、黄砂哭く中国東北で繰り広げられた日露の対戦を雄渾に描く「秋山支隊、挺進す」によって補強される「八八艦隊物語」の世界、横山信義が贈る傑作篇。
極寒の早朝、悠海子は検屍のために呼ばれた。公園のベンチの間にその男は倒れていた。赤い石畳に黒い血が飛び散っている。一目見て、死んでいることは明らかだった。-検屍結果は病死。だが持ち帰った便を検査した悠海子は、遺体は死んだ後に公園に捨てられたのではないかという疑惑を深めていった。検屍結果に間違いはない。病死の人間をなぜ…不審に思った悠海子は独自の捜査を開始した。死体遺棄事件は意外な様相を見せ始める…。女医・椎葉悠海子が鋭い推理で検屍の盲点を突く。本格医学ミステリー。
ノアの箱船の密航者が語る航海の真実、中世フランスで実際にあった奇妙な「虫裁判」、ジェリコーの大作「メデューサ号の筏」制作の顛末、月面で啓示を受けてアララト山に箱船を探しに出かける元宇宙飛行士…滑稽にして崇高なる人類の歴史に挑む『フロベールの鸚鵡』の作家の知的で愉快な小説。