1995年8月発売
タクシーの運転手がこんな話をしていた。彼はカラオケバーで会った女から聞いたという…。ブティックの試着室で次々と消える少女たち、ガイジンたちの間で有名な古びたコインロッカー、そして、男を去勢する謎のウィルス…。あなたは今、増殖する噂の群れの先頭にいる。悪夢と祈りに満ちた都市のフォークロア六十余編。
旗本小普請組の晴気竜行は囚われの身となった友人を救うため刺客の仕事を引き受けた。約束通り、丹後田辺藩の重臣の暗殺に成功したが、友人は謎の自害をしていた。刺客として生きる道を選んだ男たちを描く長編剣豪小説巨編。
死よりも甘い快楽(トリップ)、愛よりも残酷な涅槃(ニルヴァーナ)へ-。究極のドラッグ=SATORIをのむとき、脳内にひびく老師(グル)の教え。90年代をふるわせる芥川賞候補作家の不敵な挑発。
老舗の酒造メーカー・日本酒造がビール生産に乗り出した。広告戦略を担当する東阪広告は、CMキャラクターに新進俳優・水島紀之を起用する。だが海外ロケ直前に水島側がキャンセルを。対応に苦慮した東阪広告の堂門百合子は、窓際部長・舘脇一輝に事態の収拾を依頼。舘脇流の収拾策により、ロケは無事終了するが、帰国の際、水島にある事件が発生。さらに日本酒造の意外な対応により、東阪は窮地に追い込まれる。舘脇は独自の方法で対応に乗り出すが、複雑に絡み合う利権構造は新たな事態を生み出す。
ロシアのスペース・シャトル“ブラン”を破壊するため、NASAの全面的支援のもと天翔は三度、宇宙へと飛び立った。しかし、ブランは天翔の放ったミサイルを難なく躱して帰投してしまう。失意のまま硫黄島に帰還した篠原原達を待っていたのは、周囲の批難と罵声だった。再度の決戦をめざし訓練に励む天翔隊だが、そんな中、日本上空に反射衛星を投入するため再びブランが打ち上げられるとの情報が届く。いよいよ天翔対ブランの一騎打ちの時が迫る。
『インド夜想曲』の作者タブッキが、魔術を駆使してオールディーズの世界をノスタルジックに描く。ものうい夏の午後、ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」の歌声が、「ヴォラーレ」のメロディーが聞こえてくる。
三カ月前に交通事故で死んだはずの不倫相手によく似た男を、街で見掛けたOL。そんなはずは…。彼女の背後にはドス黒い陰謀が密かに迫っていた-日常と隣り合わせの犯罪の魔手、突然降り懸る不可解な出来事、身に覚えのない事件に巻き込まれる男と女…現代社会の裏面を鋭く抉り出す、本格傑作ミステリー。
199×年。世界があのキューバ危機以来の第三次世界大戦勃発の恐怖に直面した。ロシアの国粋主義者と旧ソ連軍の不満分子が手を組み、シベリアの核ミサイル基地を占拠し、アメリカと日本を攻撃するという脅しをかけてきたのだ。米海軍精鋭の原子力潜水艦『アラバマ』に出動の命令が下った。艦長はF・ラムジー大佐(ジーン・ハックマン)、そして新任の副艦長がR・ハンター少佐(デンゼル・ワシントン)。潜行12日目、敵潜水艦と遭遇した『アラバマ』にペンタゴンから命令が送信されてくる。だが、敵の魚雷が船体をかすめて爆発、『アラバマ』の通信設備が作動しなくなってしまった。敵ミサイル基地への攻撃をすべきか、否か。〔即時攻撃〕を主張するラムジー艦長、〔命令の再確認〕を強く求める副艦長のハンター。『アラバマ』の艦内は二派に分裂し、男たちの息づまる戦いが始まった。
突然のキスにとまどい、反発しながらも、どうしようなく惹かれていく女心。次々と降りかかる厳しい現実と過去の残像の中に、見失いそうになる「幸福」の二文字。20代最後のクリスマスを、誰と迎えることになるのか。それぞれの選択の時がついに訪れる…。二つの賞に輝く名脚本から生まれた究極のラヴ・ストーリー。テレビとはひと味違う。
腐敗と堕落を極めるグラドニア国の首都バネッサにある聖女チェレステ孤児院には、伝説の預言があった-昔、院を寄贈した伯爵の娘で10歳のチェレステが、非道な父親が引き起こした惨事で昇天し、その時遺したものだった。時は現代、孤児院のキリスト像がある日突然倒れ、預言の一つが現実となる。さらに孤児が三人、忽然と姿を消す。折しもその時、謎の人物が各国の悪童を集め、普通の反則なら何でもOKという摩訶不思議なストリートサッカー世界選手権を開こうとしていた…。
必死に逃げるエリザベスに、獰猛な犬が牙をむいて襲いかかった。だめだ、開かない。家じゅうのドアに鍵がかけられている。彼女は自分が監禁されていることにようやく気がついた…。絵画修復師のエリザベスは、日の当たらない地下室で、古い絵に囲まれひっそりと暮らしていた。ある日、絵画収集家として知られる富豪のトマス・ミルトンから住み込みで絵画の修復を頼まれた彼女は、ロンドンにある彼の住まいを訪ねた。そこは外界から完全に遮断された静かなマンションで、日当たりのよいスタジオを与えられたエリザベスは仕事に没頭する。だが、美しいものに異常な執着を示すトマスは、やがて彼女を幽閉し、しだいに常軌を逸した行動をとるようになっていった。囚われの身になった女性の心理を、二度の英国推理作家協会賞に輝くフランセス・ファイフィールドが別名義で描く、出色のサイコ・サスペンス。