1995年発売
日影丈吉の紡ぎ出す妖しくも豊かな幻想は深甚広大な博物誌的知に裏打ちされている-。本巻では、動・植物の楽園を融通無碍に闊歩した著者が“生きもの”達の怪を絶妙な色糸に織り上げた作品群を集録。
大英帝国とオランダを叩け。ノモンハンの凄将・儀峨徹二中将率いる隼戦闘隊が、ヒトラーの要請を受け大英帝国爆撃作戦に飛び立って行った。手始めに、マレー沖空爆戦でイギリスの誇る不沈戦艦プリンス・オブ・ウェールズを撃沈し全世界が驚倒する大戦果を挙げ、パレンバン油田の上空に落下傘部隊の花を開かせた。
発明家エディソンのアンドロイドは絶世の美女を超えられるか。19世紀フランスの鬼才リラダンの小説〈未来のイヴ〉にSF、マルチメディア、VRなどの新しい光をあてて悲劇の核心に迫る奇想天外な批評風小説。
亡命した作曲家の作品を演奏会にのせようとする弦楽四重奏団。だが権力を掌握しつつある右翼勢力にとってそれは許しがたい行為だった。彼らは会場に乗りこみ演奏を妨害しようとする。架空の国シャルムーシュを舞台に、理不尽なテロに対する音楽家たちの悲痛な抵抗のドラマが展開される。
開館の準備が進む博物館で、任命されたばかりの館長さんが墜死するという椿事が発生した。あやまって屋根裏部屋から落ちたのかと思いきや、窓が小さくてそれは無理。ならば屋根に登って飛び降り自殺を決行したのか。ところがどっこい、故人は高所恐怖症だったらしく…。摩訶不思議な事件をむこうにまわしてディタニーが大活躍。マクラウドが別名義で贈る、好評ユーモア第二弾。
軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人ーいずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。
ある朝突然、“かいわれ大根”が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに活り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した…。坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へー果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは?急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!
野獣たちの淫らな誘いに、蜜を滴らせながらも秘唇を固く閉じあわせたまま、最後の侵入を頑なに拒む少女。だが、それも束の間。じわじわ溢れる蜜に、体は正直に反応し、破瓜に時を熟望する。いつしか少女も人妻のような熟れた花弁を震わせながら性の深淵を覗き、男のものを自ら腰を振って迎え挿れる…。
特殊な能力をもつゆえに、ともすれば恐れられ敬遠される超能力者たち。でも“ペガサスを乗りこなす”ようにその能力を使いこなせば、みんなの役にたてるはず。超能力者の活動を組織化し、存在価値を社会に認めてもらおうと、自らも予知能力をもつヘンリー・ダロウは愛妻モリーと力を合わせ超心理学センターを設立するが…悩みながらも成長していく超能力者たちの姿を、人気性同作家マキャフリイがはつらつと描く力作。