1996年2月20日発売
大阪の富豪に殺人予告が届いた。差出人は蠅男。警備は厳戒をきわめた。しかし、それを嘲笑うかのごとく、富豪は天井に吊されていた。完全に近い密室に、煙のように侵入しうる犯人とは、いったい何者。名探偵・帆村荘六は、この不可能犯罪に敢然と挑み、怪人蠅男に肉迫する。猟奇的な発端から戦慄のラストシーンまで、昭和初期のエログロ・ナンセンスの雰囲気を濃密に漂わせた鬼才の代表的長編。
天下の険、名勝箱根山の観光開発をめぐり、運輸省を巻き込んだ二大資本の熾烈な争いは、第三の勢力の殴り込みで、さらに大混乱。駆引きと思惑が乱れとぶなか、伝統と格式を誇る地元老舗旅館は対立し、あおりをくらった若い二人の恋路も、いまや前途多難だ。西武、東急、藤田観光の世に名高い箱根開発戦争をモデルに、箱根の独得な歴史も織り込んだ、シリアスでユーモラスな企業小説の嚆矢的傑作。
借財は歳入の八十年分。貧窮の越前大野藩を蘇生させるべく、刀を捨て、天賦の商才と経済感覚を武器に改革する侍、内山七郎右衛門良休。藩直営の特産店「大野屋」の設立、流通革命、価格破壊を施し、蝦夷地への開拓投資など奇策を弄して、藩を復興させた新しい経済武士の生涯を描く。
連日の異常気象、多発する少女誘拐未遂事件…と、不穏な空気が漂う東京都世田谷区。ある日、パソコン売場のモニターに「悪魔の警告」から始まる予告文めいた怪文書が現われた。翌日、若き天才囲碁棋士・牧場智久の対局相手・桃井四段が失踪。さらに、十二歳の少女たちが次々と殺されて。牧場智久&武藤類子コンビの推理やいかに。驚愕の本格推理。
ホームズと警視庁の片山刑事の妹・晴美は、バスに乗っていた。見知らぬ少女が「おいで。降りるわよ」と声をかけると、ホームズがついて行ってしまったから、さあ大変。片山たちの必死の捜査でつきとめた少女は、今度は「ちょっと人を殺すだけ」と言ってナイフを買っていった。表題作のほか、「通信簿」、「殺し屋稼業」、「催眠術」と、ホームズ大活躍の3編を収録。
-時は2010年、巨大財閥蔵石グループ総帥蔵石政章は、ふとしたことから響樹渉・愛兄弟の超能力を目の当たりにする。彼らの血の秘密を手に入れ、その力をあやつれば、世界は我が掌中で踊るやもしれない。罠は仕掛けられた-。つかわされた刺客はルドルフ・南雲。ルドルフVS渉・愛のバトルの果てに、渉のすさまじいエネルギーが炸裂した。抑え切れない怒りの思念が妖獣ドラゴンを現出させ、暗雲をまとって荒れ狂い始めた。読み始めたら止まらない、スクリューコースター・ハイパーノベル。
リキとガイの出会いには…どれほど傷ついても、どんなに傷つけても、手放せない一途な『想い』がある…。人類の英知を極めた人工知能が支配する未来都市-タナグラ。束縛のない暮しを求め夢破れた人間の街-ケレス。そこに生きる若者たちの、重すぎる自尊心探すぎる想いに、魂が悲鳴を上げる時、引き返せない未来が口を開ける…。待望の『間の楔』番外編。
三千年に一度、長き眠りから人間界に蘇生するという伝説の超神。いまその覚醒のときが迫る。この超神を捜し出すべく、獣人界からやってきた天邪鬼。だが一方、超神の目覚め前に抹殺をたくらむ摩界族も、ひそかにこの人間界に潜入してきていた。私立盟神学園中等部の南雲辰夫は、はたして本当の超神なのか。いま妖気をいっぱいに充満させながら、超神をめぐる巨大なバトルが始まる。不可思議なパワーとエロティシズムが激しく噴出する、スーパーSFホラーの大作エンタテインメント第一巻、ここに完成。