1996年4月4日発売
愛愛
デュラスが、自らの創造力のなかからつくりあげた「白骨の西洋」-海と空にひらけた、砂と風の町、S・タラ。「海」であり「死」であるこの町を舞台に、「旅人」や妊娠した狂女といった名前のない登場人物が繰り広げる物語は、デュラス文学の極北であると同時に、『ロル・V・シュタインの喪心』『副領事』と同じ背景をもち、その世界の核となるものである。
ユダヤ人の家ユダヤ人の家
凍てつくような冬の夜、数千年の重みを背負わされた架空の町シュタットを舞台に、四人の登場人物が直面する、死刑執行という極限のドラマ…。デュラスが寓意と象徴の技法を駆使して、六八年五月革命の衝撃を、離散の民の自立性を保ったまま普遍的な存在にたどりつけるのか、というユダヤ人の悲劇的な問いかけに重ね合わせるように描き出した問題作。
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