1996年5月1日発売
翼よ、あれは何の灯だーリンドバーグよりも一足先に大西洋横断飛行に成功しながら、アフリカに着陸してしまった日本人。アポロ11号に乗って月まで行き、着陸に成功したのに、月に隆りられなかったクルー。歴史に名を残した幸運な人の陰には、もうちょっとで有名になれたはずの人がきっといた。陽の目を見なかった運のない人々のドラマを愛を込めて描く著者新機軸の仮想伝記小説集。
政治の大転換を予見して衝撃を与えた謎の作家が、今、遂にヴェールを脱いだ。-非自民連立政権誕生の裏で、宮沢喜一と羽田孜はどんなやり取りをしたか。コメ市場部分開放に到る過程で小沢一郎やコメ・マフィアがいかに暗躍したか。政変の陰で繰り広げられた会話の細部までが、黒河小太郎によって白日の下に晒された。しかし、これは全て想像力によって紡ぎだされた小説なのだ。
アザゼルがね、とジョージが話し出した。絶対秘密だけど、奴は親しくしている悪魔なんだ。身長2cmのチビだけど、人が、いや悪魔が好くてね、困っている友達の願いを何回も叶えてくれた。女の子を美人にしたし、刑事に嘘を見抜く力を与えた。科学狂の運ちゃんに空を飛ばせたこともある。でもなぜか皆幸せにならないんだ…。著者の友人ジョージが語る奇想天外なエピソード18編。
1956年2月、ふたりの青年はペンシルヴァニア大学のキャンパスで出会った。刑事弁護士を目指すジェシーと、ジャーナリスト志望のマイク。彼らは野望に燃えていた。そして、それを実らせる術を心得てもいた。戦争と暗殺という病魔に蝕まれつつあったアメリカ。ふたりはそこで、ユダヤ社会、マフィア、政界と、あらゆる人脈を利用したー。パワーエリートの世界を活写する問題作。
次々と秘策を繰り出し、法廷を沸かせながら連勝を記録するジェシー。一方マイクはジャーナリストとしての手腕を高く評価され、ロバート・ケネディに秋波を送られるまでになる。だが彼は歴史的スクープをものした後、父の死を受けてアイルランドへと移り住む。そして現代ー。法曹界の仇敵に弾劾されたジェシーは倒産詐欺事件の被告となり、自らを弁護する戦いの舞台に立った…。
かつて愛したマリイカが映画デビューする。報道カメラマン・ボロは、愛を確認するため、ブガッティを飛ばした。だが、女は愛を躊躇い、再会を祝すライカを贈るだけだった…。偶然撮ったライカに重大機密が刻印されていた。ボロのフィルムを奪うため、ナチはマリイカを軟禁。ボロは巧妙な作戦でマリイカを救出し、パリ行き列車でドイツ国境突破を謀る。軍用機で追うナチ。超大型冒険小説。
退屈な日々を過ごしていた高2の春休みのある日、大西多聞は姉の千鶴子が通っている大学のアーチェリーの射場で的を射る一人の青年・城戸茂朝の姿に一目惚れしてしまう。多聞は彼にもう一度会いたいがために同じ大学へ進学してアーチェリー部に入部する。だが、その彼の意中の人は実は千鶴子だった-。大幅加筆で遂に登場。