1996年5月発売
第二次世界大戦末期、ドレスデン空襲で焼失したとされるクールベの名画「石割り人夫」。この世界的名作が、戦後五十年近くたって突然、現われたという。ロンドンの画商オズワルド・ギンは、名画を売りたい人物がいるとの情報を旧友から入手。だが、その旧友は突然の死を遂げてしまう。オズワルドは謎の売手を探し、ナチの残党が隠れ住む南米へ飛ぶが…。英国の鑑定人が歴史の闇に消えた至宝の謎に迫る宝探しミステリ。
ガブリエル・デュプレは、モンタナの牧場で牛の出荷を管理する焼き印検査官。ある日、山中で発見された軽飛行機の残骸を調べに赴いた彼は、そこで三体の人骨を見つける。が、奇妙なことにそのうち一体は手と首が切り取られており、当時の記録から乗員は二人だったことも判明する。首なし死体はいったい誰のものなのか?調べを進めるデュプレは、数十年前に端を発する悲劇に突き当たる。西部の大自然を背景に描く注目作。
新時代を迎え、英国情報部をリストラされたティム・クランマーは、叔父から遺された屋敷に引退し、年若い愛人エマと優雅な日々を送っていた。同じく引退した元部下のラリーも近くの大学で教鞭をとっていた。ラリーはパブリック・スクール時代からの友人で、彼が二重スパイとして育て上げた男だった。ところが、クランマーの目の前で、エマとラリーは運命的な恋に落ちた。そして、クランマーの屋敷を警察が訪れた。ラリーが失跡し、その前に怪しげな外国人と接触していた、と告げ、クランマーとの関係を執拗に追及した。ラリーは、なんと元KGBコントローラーと組んで、ロシア政府から巨額の金を詐取したらしい。いったい何のために。クランマーには寝耳に水の話だったが、情報部も上司だった彼の関与を疑っていることがわかった。そしてエマも、ラリーとともに姿を消していた。愛人を奪われたうえ苦しい立場に立たされたクランマーは、自ら二人を追い、真相を探りだそうとする。官憲の手を逃れ、パリへ、モスクワへ、戦火のカフカズ山脈へ-冷戦後、さらに混迷を深める世界をさまようスパイたちの魂を、比類ないサスペンスのうちに描ききる。
戦争は問題解決の最終的な手段として考えられてきた。いくつもの国家や集団が、かれらと外国の間に横たわる面倒な問題を直接的に解決するための行動をおこした。それはうまくいく場合もそうでない場合もあった-第三次世界大戦後、ドイツ帝国と日英米の太平洋条約機構軍はバルカン半島でのセルヴィア人とクロアチア人の民族紛争にしばしば軍事介入した。日本の戦略爆撃機「飛鳥改」による爆撃もそのひとつだ。クロアチア、キューバ、北米、東京と紛争の火種は尽きない。兵士たちの栄光と苦闘を熱描する外伝第3弾。
第七コロニーに住むバリー・オトロン博士一家が誘拐された。目的は完全なパワーをもたらすといわれる、伝説のテグタニオ空間へ侵入するため、博士の知識が必要なのだ。一家を奪還すべく、連邦軍は特殊部隊SSを出動させる。重機甲服に身を包んだ兵士たちは最強を誇っていたが、超能力をもつパラサイバーの前に、ことごとく倒されていく。唯一の望みは、サイ能力を持つ“レイン”の復帰を待つのみだ。残された時間は少ない。“レイン”は何処に。果たして敵の野望は砕けるのか。そしてテグタニオの秘密とは。
ミステリ通たちを驚喜させた傑作書下し長篇。探偵小説を超えた探偵小説。初恋の相手は殺人容疑者。死体の脇で発芽したアブラナ科の子葉は無実の鍵なのか。13歳の姫子は追う。絡むウネ子60歳。男は逃げる。恋は切ない。愛はもつれ残酷だ。
大江戸の風物をめぐる七つのからくりを八丁堀同心・夢裡庵が解き明かす。七つのからくり-三乳観音の謎、愛染様の血箭の謎、踊る新造の謎、古い絵銭の謎、吉相黒子の謎、南蛮かるたの謎、当たり富くじの謎。
世界十数カ国の人々が感動したベストセラー待望の邦訳。ヤーロム博士の実存的精神療法が、人間味と迫力に溢れる実録小説としてここに結実。現代の日常生活に起きる失恋や盗難や災害による喪失、老いゆえの女性の美の喪失へのドラマチックな癒しの技法。