1996年9月20日発売
都内の一流ホテルで、不動産ブローカーを営む男が殺された。だが、現場に手がかりはなく、はやくも捜査は難航していた。ニュースで事件を知った浅見光彦は母・雪江に相談を持ちかけられる。旅行帰りに被害者を目撃したらしいのだ。その際に、男は携帯電話で「アサヒのことはよろしく」と大声で頼んでいたという。「アサヒ」とは何か!?浅見は事件解決のために、死者が遺したメッセージの真相を追うのだが…。名古屋、北陸、そして東北へー。名探偵浅見光彦の推理が冴える長編旅情ミステリー。
警視庁捜査一課の横渡刑事は帰宅途中、暴漢に襲われた女性を助けようとして男と格闘し無念にも刃物で刺殺された。一方、襲われた女性も死体で発見される連続殺人事件が起きた。殉職の訃報を聞いた棟居刑事は激しい怒りを覚え、「仇はおれがとる」と亡き横渡の面影に復讐を誓う。そして、女性被害者の身辺を調査中、遺品から二八年前に起きた棄児事件を報道した古い新聞記事が見つかった…。燃える刑事魂が巨悪と対決する「棟居刑事シリーズ」第一弾。
山間の豪華なリゾート・ホテル「ホテル金倉」。このホテルが閉館することになり、閉館前の最後の一週間、馴染みの客がオーナー・金倉に招待された。片山たち一行も、金倉のたっての希望でその場に招かれた。実はこのホテルでは十年前に金倉の一人娘が殺されるという事件があり、現在も未解決のまま。今回集められた招待客は、片山たちを除いて全員がその現場に居合わせた人ばかりなのだという。しかも金倉は「今度殺されるのは私だ」と予言ーはたして惨劇は繰り返されるのか?人気シリーズ第19弾。
信州の山奥で仙人・戸沢白雲斎から独得の武芸を伝授された少年猿飛佐助は、真田幸村に乞われ沼田城に入った。時は戦国、佐助の奇策は徳川や北条の城攻めを次々に封じる。だが、自然児にとって武士の世界はなじみにくかった。放浪の旅に出た彼は、人の野心、怨恨、情愛をしたたかに思い知らされる…。「立川文庫」最大のヒーローを、著者自身の体験と重ね合わせて、人間として捉えなおした異色の長編。
二十年間共に暮らしたあと、出ていった夫。投函はしないけれど、日々の思いを「私」は綴る。誠実さだけがとりえ、と思っていたあなたに愛人がいることを知った衝撃。金銭問題であなたと敵対しなければならないことへの怒り。自分にも訪れた新しい出会い、しかしそれを見る娘の、なんとまあ冷たい視線…動揺と悲しみ。あきらめと安らぎ。子供を抱えて離婚した女性の葛藤と成長を、手にとるように描く。
昭和17年(1942)7月18日未明、マーシャル北方500キロ洋上-。クエゼリン基地から発進した水上機母艦千歳の零式水偵が米艦隊に撃墜された。日本海軍が回避に回避を重ねてきた、日米の衝突がこのとき現実のものとなった。ハワイ攻撃を直前で中止して、日米開戦を回避した山本五十六司令長官も、戦艦大和を旗艦として、急遽、中部太平洋での邀撃作戦のため出撃した。大和は、武蔵・長門・陸奥・伊勢・日向の砲戦部隊を引き連れ、米艦隊に向かった。前方には、金剛・比叡・棒名・霧島の高速戦艦部隊、そしてその左右に、軽巡神通指揮の第2水雷戦隊の駆逐艦16隻が力強く波を崩いて突進していた。駆逐艦には、日本海軍が誇る九三式酸素魚雷264本が装填されていた。山本長官は、飛龍・蒼龍の空母部隊「九七艦攻・九九艦爆・零戦搭載」で、米艦隊を奇襲し、その混乱に乗じて戦艦部隊との砲戦に持ち込もうとした。
和菓子屋「ふじの」にやってきたのは、天才和菓子職人、瀬川宗一郎。店の跡継ぎ息子、藤野弘明は、彼のことが気になって仕方がない。そんなある日、店主である父・和憲が事故に遭い、弘明は代理として店を切り盛りすることに…!東京は湯島を舞台に甘ーい物語をお届けします。
中学生-大人と子供の間羽化を待つ蛹。小説現代推理新人賞作家・釣巻礼公が、今まで誰にも書かれなかった思春期の神秘を描く本格推理長編第一作!名門・岩清水中学の将棋部部室で副部長の小雪が殺された。死体の両耳は無惨にも切りとられていた。小雪が残した詰め将棋に隠されたメッセージを手掛かりに、ノホホン少女・九十九桂が事件に挑む。しかし、またしても女子部員が第二の犠牲者に。今度は舌を切りとられて…。彼女には『援助交際』の噂があった。やがて、犯人の魔の手は桂にも襲いかかる。大人と子供の間の『蛹』の季節を生きる中学生。成長、いじめ、自殺そして援助交際といった、様々な問題に不安と戸惑いを感じながらも彼等は「負けるもんか」と事件に立ち向かう。
謎の長編ミステリの著者を捜せ!同人誌に掲載された長編推理小説『ネメシスの哄笑』を巡って次々と起こる奇怪な殺人事件!推理小説同人誌「オフショット」の会誌に載っていた長編ミステリ『ネメシスの哄笑』は、近年まれに見る大傑作であった。ぜひ出版したいのだが、残念ながら前半がない。ミステリ編集者である私は、著者に連絡をとろうとするが次第に不可思議な連続殺人事件に巻きこまれていく…メタ・ミステリの鬼才・小森健太朗が、奔放なストーリーテリングで読者を夢幻の世界に誘う、書下し超本格推理。