1997年11月発売
謎めいた美女ガブリエラが住む家が放火された事件は、小さな村を騒然とさせた。さらに中から発見されたのは有名なクリケット選手フレミングの死体だった。しかもガブリエラは事件の直前に失踪したきりで捜査は難航する。やがて彼女はフレミングが所属するチームのスポンサーと別居中の妻である事実が判明した。二人は愛人関係だったのか?州警察の要請を受け、リンリー警部はハヴァーズ部長刑事と共に現地へ赴くが…。
放火事件には不審な点が多く、リンリーはフレミングが殺害されたと確信して捜査を続ける。彼の身辺を探るリンリーは、やがて新たな事実に突きあたった。フレミングは数年前に家族と別れ、恩師の女性とともに暮らしていたのだ。行方不明の美女、別居中の妻、彼を溺愛する元教師…リンリーは事件の鍵を握る三人の女性に焦点を当て、奥深い人間関係へと分けいる。ミステリ界の新女王が円熟の筆致で贈る、華麗なる本格大作。
ただ一人の親族である伯父が死の床についている。今を逃したら亡き父のことは二度と聞けない。ニューヨーク市警の刑事ホッカデイは、急ぎダブリンへ飛んだ。だがその時から、父と関係のあった人物が謎の死を遂げ、さらに不穏な事件が続発する。やがて、父の驚くべき過去が明らかに。
窮屈なしきたりなんて、まっぴらーわたしは女ひとり、タイピング・サーヴィス業で身を立てることにした。だがやがて、わたしの依頼人たちに次々と恐ろしい事件が!オフィスにやってきた中国人が、数日後何者かに殺され、作家志望の青年は、原稿を預けたきり消息を絶ってしまった。好奇心を抑えきれず、わたしは調査にのりだすが…ガス灯時代のサンフランシスコに勝ち気なアマチュア探偵登場。マカヴィティ賞受賞作。
夏の終わりの午後おそく、新学期の始まる日の父母会をおえてアンディ・マネットと二人の娘が外へ出ると、荒れ模様の空から雨が激しく降っていた。そのとき、学校の駐車場では赤いヴァンに乗った大男が獲物を狙って待機していた。その男ジョン・メイルは彼女たちが車に乗ろうとしたとき、背後から無理やり自分のヴァンに引きずりこみ、母娘ともども連れ去った。誘拐された女の別れた夫が大金持ちの共和党支持者、父親が民主党の実力者という複雑な背景を考慮して、この事件を担当することになったのはミネアポリス市警副本部長のルーカス・ダヴンポート。しばらくして連絡を入れてきた犯人は、どうもゲーム・マニアらしく、コンピュータ・ゲーム・メイカーでもあるダヴンポートと直接話したがる。はたしてダヴンポートは、挑戦的な犯人の居所をつきとめ、生きたまま母娘たちを救うことができるのか。
フレッチャー一家は、インディアナのヴィゴアからノースカロライナのストゥベンへと、新天地を求めて引っ越してきた。フレッチャー家の三人の子供のなかで、長男のスティーヴィはこの引っ越しにいちばんショックを受けていた。もともとひとりで遊ぶのが好きな子供だったが、その孤独癖はだんだんひどくなっていく。やがて、そんなスティーヴィに何人かの友達ができたようだ。だが、彼の話には腑に落ちないところがあった。だれそれと遊んだといって帰ってくるのだが、家の外で見かけるスティーヴィはいつもひとりだったのだ。その繊細さゆえに、学校でも友達ができず、空想の友達をつくったのか?そのころから、フレッチャー一家のまわりでは、奇妙な出来事がつぎつぎにおこりはじめた…。連続少年失踪事件にゆれる南部の小さな町を舞台に、家族の愛とは、親子の絆とは、思いやりの心とはなんなのかなどを読む者に問いかける感動の書。ファンタジイ&サイエンス・フィクション誌1989年10月号にまず短篇の形で掲載され、89年度のローカス賞を受賞。1992年に長篇化された。
作家小森健太朗が翻訳した、アブド・アッラーフ著『神の子の密室』。キリストの“復活”を検証したこの書物には、『あばかれたイエス』という続編が存在していた。キリスト教徒の猛反発必至と噂されるほど“涜神的”なその作品の出版権をめぐり、大手出版社間で熾烈な争いが開始される。壮神舎の若き女性編集者初野沙緒里も、版権獲得会議に参加することを決意するが、事態は関係者が次々と殺害されていくという展開を見せる。おなじみの編集者探偵・溝畑康史も登場。期待の新鋭の才気溢れる本格推理小説。
「わたし、水城さんに内緒のお話があるんだぁ」エレベーターを扱う株式会社ニュートンの営業課長・水城寛太郎は、総務部文書課の女主任・万田百合絵に誘われた。得意のテクニックを駆使し、百合絵を満足させて話を聞いたところ、営業課の女子社員が援助交際をしているという。しかも水城が一番信頼し、可愛がっていた前田美矢香がだ。驚く水城に百合絵は、さらに衝撃的な事実を告げる。社長の檜垣達之助が、株主代表訴訟を起こされるというのだ!水城に下った社長の特命とは?絶好調・欲望課長の獅子奮迅の活躍。
21世紀の世界経済の鍵を握る人口12億の中国市場をめぐり、米仏両国の巨大資本グループは水面下で激しい経済戦争をくり広げていた。ニューヨーク・ミラー社の若手記者エリック・トゥルーエルは情報収集のためCIA工作官に近づく。しだいに彼は経済謀略の実体に迫り、ついにフランスが中国の生物兵器開発を援助していることを突きとめる。だが、CIAとの協力のなかで取材活動の範囲を逸脱していったエリックも、その運命を大きく変えてしまう-。