1997年9月10日発売
在日朝鮮人として生れた著者の、37歳で夭逝した魂の記録。差別と偏見の苦しい青春時代を越えて、生国日本と母国韓国との狭間に言葉を通してのアイデンティティを探し求めてひたすらに生きた短かい一生の鮮烈な作品群。芥川賞受賞の「由煕」、そして全作品を象徴するかのような処女作「ナビ・タリョン」(嘆きの蝶)、「かずきめ」「あにごぜ」を収録、人生の真実を表現。
屋根付きの橋を撮るため、アイオワ州の片田舎を訪れた写真家ロバート・キンケイドは、農家の主婦フランチェスカと出会う。漂泊の男と定住する女との4日間だけの恋。時間にしばられ、逆に時間を超えて成就した奇蹟的な愛ーじわじわと感動の輪を広げ、シンプルで純粋、涙なくしては読めないと絶賛された不朽のベストセラー。
小市民でしかなかった男の、屈辱と再生。じっと身を縮めていれば、いつか終わると思いながら、なにかが主人公を立ちあがらせる。そこにあるのは、男が誇りを賭けた修羅場であった。海難事故で電子機器の不正輸出が発覚。身代りで実刑を受けた出向社員和田は復讐に燃えた。
かれらも祖国のために戦ったのだからー。大正初め、徳島のドイツ人俘虜収容所では例のない寛容な処遇がなされた。日本人将兵・市民と俘虜との交歓を実現し、真のサムライと讃えられた会津人・松江豊寿。なぜ彼は陸軍の上層部に逆らっても信念を貫いたのか。国境を越える友愛を描いた直木賞受賞作。ほか二篇。
「えっ。ユーレイが小説を書いたの!?」巨大タニシの母貝1個1億円の商談をしくじった三流詐欺師の俺にも、運がめぐってきたようだ。謎の原稿を出版社に持ち込んだところ、文壇の大事件に発展し…。うふふ。ここは腕の見せどころ。輪舞するコメディ。あふれ出る言霊。待ってましたの痛快らもワールド。
日本を代表するシャーロッキアン小林司、東山あかねが不朽の名作「シャーロック・ホームズ物語」全作品を新たに全訳する。オックスフォード大学版の「注釈・解説」を完訳して付す、初版本のイラスト(ハッチンソン画)全点を復刻掲載、タイトルを「緋色の研究」から「緋色の習作」と改めた。