1998年11月発売
西新宿にある東和信用金庫が三人組の男に襲われた。行員三人が射殺され、現金一億八千万円が強奪される。事件を追う新宿西署の暮林刑事は、三人組の一人が中国人・張狼元であることをつきとめ、張が情婦の石原ひろみと暮らすアパートを張り込んだ。が、ひろみが張を殺してしまったのだ!ひろみの境遇に同情した暮林は、彼女のために部屋を借り、愛欲に溺れる…。一方、三人組のもう一人、李冲虎を割り出した歌舞伎町分室だったが、その背後に、香港黒社会の巨魁・蛇駄逵の影がちらつき始めた…。
日本を震撼させた“金大中拉致事件”は、いまや当時のKCIAの手になったことが明らかになっているが、命をとりとめた金大中は永い牢獄生活を経て、韓国の大統領となっている。一方、事件の陰で当時の日本の政党と韓国政府との間で何らかの闇取引が行われたといわれている。本書は、日韓両国の間に横たわる巨大な闇の部分に翻弄された一日本人と東証一部上場のある会社の消滅の物語である。
日本経済最大の危機、金融崩壊が迫っている。長期信用銀行は、公的管理という道でどうにか解決をみたが、それが決定した後日、日本リースが倒産した。もくろまれた長銀の不良債権放棄が不可能になったからである。その背景にあるのは、銀行がかかえる表向きの不良債権の額をはるかにオーバーする膨大な量の“飛ばされた”不良債権である。本書は、それが何故生じたのかという最大の疑問に答えてくれる。
精神の国境で不安と絶望をシュールに描く。世紀転換期から、一次大戦、ハプスブルグ帝国崩壊を経てチェコ共和国の成立へ。ドイツ民族主義、チェコ民族主義、反ユダヤ主義、シオニズム等、様々な時代潮流が烈しく渦巻き、衝突した「論争の町プラハ」に、「ドイツ系ユダヤ人作家」として生きた、カフカの生涯を、広大なパースペクティブの下に、豊富なディテールを駆使して綿密に描く重厚なカフカ評伝の誕生。