1998年2月10日発売
おなじ外観の家が続く雪に塗りこめられた街の迷路をさまよう敗残兵の姿と、「ライフェンヘルスの敗戦」と題された絵の場面とが交錯し、物語は複雑な軌跡を描きながら展開回帰をくり返す。兵士は銃撃をうけ、居合わせた医者に介抱されながら死ぬが、意表をつく結末が控えている。執拗なまでに幾何学的な描写によって独特の世界を構築し、ヌーボー・ロマンの旗手となったロブ=グリエの代表作。
「都会とは恐ろしいところだ」。五年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた「秩序」、神秘を鎮めた「個と群れ」の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の十篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。
彼らは北極点を目ざした…百年以上昔の北極航海日誌を自ら再現しようとした一人の男の狂気が、氷と闇の「物語」の果てに消滅してゆく-。現代ドイツ文学の鬼才ランスマイアーの『ラスト・ワールド』に先行する傑作。待望の本邦初訳。
悪党たちが跳梁跋扈する十八世紀後半のロンドン。盲目の治安判事サー・ジョン・フィールディングは、“ボウ街の捕り手”と呼ばれる警察隊を組織し、犯罪の一掃に乗り出すなど、辣腕判事の誉れ高い人物だった。ある日、発砲事件の報に、助手の少年を従えて貴族グッドホープ卿の邸宅に急行したサー・ジョンは、そこで変わり果てた姿となった卿を発見する。状況から明らかに自殺と思われたが、少年がふと洩らした言葉から、事件は思わぬ方向へ。盲目の判事と、彼の目となり手足となって働く少年が、豪壮な邸宅で起きた密室殺人に挑む時代ミステリ。
日ざかりの小道で呆然と、「私が殺した男」を見つめる兵士、木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる帰還兵…。ヴェトナムの・本当の・戦争の・話とは?O・ヘンリー賞を受賞した「ゴースト・ソルジャーズ」をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。胸の内に「戦争」を抱えたすべての人におくる22の物語。
海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか?時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳をお楽しみ下さい。
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劉邦(漢王)、項羽、韓信、張良、蕭何ら20人が現代人に語りかける。彼らは人生の危機をどう切り抜けたか。秦王朝から漢帝国へ、動乱期の英雄に「人間行動学」を学ぶ。