1998年3月20日発売
一児の母となり、下町の所轄署で穏やかに過ごす緑子の前に現れた親友の捜索を頼む男の体と女の心を持つ美女。保母失踪、乳児誘拐、主婦惨殺。関連の見えない事件に隠された一つの真実。シリーズ第2弾。
雪山で死んだフィアンセ・樹の三回忌に博子は、彼が中学時代に住んでいた小樽に手紙を出す。天国の彼から? 今は国道になっているはずのその住所から返事がきたことから、奇妙な文通がはじまった。
犬のろくべえが穴に落ちてしまった。なんとかしてろくべえを助けなきゃ!一年生の子どもたちがみんなで考え出した「めいあん」とは?表題策「ろくべえ まってろよ」の他、天真爛漫な男の子・マコチンの生活を描いた「マコチン」、何でも同じになってしまうのが悩みのふたごの女の子の物語「ふたりはふたり」など、八編の童話を収録。子どもたちのみずみずしい感性がきらめく一冊。
ヴァンパイア事件に揺れる東京に現れた、もうひとりの殺人狂。謎のバンド「ゾディアック」のライブに潜入を試みる滝沢稔…。そして、伊集院大介が最も恐れる竜崎晶の潜在能力とは?人々の不安と期待のなか、晶の初舞台は、ついにその幕を開ける-。
甘酸っぱい感傷を伴った懐かしさもある-還暦を間近に控えたある日、定時制高校の同窓会が開かれることになった。働いていた町工場の先輩のこと、放送劇のコンクールに出場したこと、女生徒の一人に寄せる淡い想い…。主人公の脳裡にには四年間の記憶の片々が明滅しはじめる。芥川賞作家、円熟の最新小説集。
安易きわまる「ヤラセ」がきっかけだった。凶悪犯が実在することにスタッフはあわて、犯人に素手で立ち向かう黒ずくめの男の出現に、視聴者は過剰反応した。巷の英雄を追い求める女性レポーターが目的を遂げたとき、ワイドショウを揺さぶる大事件のカウントダウンが始まった!そのマイクはストーカーそのものだ!体験者でなければ書けない凄味が、本書にはある-。
名前は不明ながら「ナウムブルクの巨匠」としてドイツ美術史にその存在を残す石工と彼が刻んだ“永遠”-ロマネスク芸術の傑作として今なお大聖堂に立つ美しき石像ウータをめぐる豊饒な物語。
三好三人衆の謀叛。兄の将軍義輝は自害し、弟周〓@51AB@は殺され、母慶寿院も火死。仏門二十六年の覚慶(後の足利十五代将軍・義昭)の悲劇はここからはじまる。-還俗し、なぜ将軍位につこうとしたのか。なぜ生き恥さらしてまで将軍位に執着したのか。侍女ぬいのこまやかな女心のあやなす口伝をとおして義昭像に迫る叙情的歴史小説。