1998年5月15日発売
有栖と火村の名コンビ、国名シリーズ第2弾! スウェーデン館と呼ばれるログハウスに招かれた有栖川有栖が遭遇した驚愕の殺人事件! フラッシュ・バック 第一章 「童話作家の館なんですよ」 第二章 「それが不可解でして……」 第三章 「このパズルは簡単そうで解けない」
親類て煩いもんです。誰だって好きではないのに、皆集まってはややこしくしているようなもんです。老母とのつきあい、冠婚葬祭をユーモラスに描く表題作、ロスアンジェルスの暴動を渦中から克明に描く「千一本の火柱」、二つの国の物語。
ホープが何者かに狙撃され重傷を負った。現場はめったに一般人が足を踏み入れない危険な歓楽街。彼はなぜそんな場所に居合わせたのか?そしていったい誰に撃たれたのか?私立探偵のチェインバーズら仲間たちは、ホープの事件前の足どりを追い、彼がサーカスの興行主の依頼で用地買収の交渉にあたっており、その権利をめぐるトラブルに巻き込まれていたことを知る。一方、意識不明で病院のベッドに横たわるホープの脳裏には、銃撃前の様々な出来事が去来していた…。ミステリ史上初の“昏睡探偵”誕生。大胆な設定と練達の筆致で贈る第11作。
ニューヨークの公園内の洞窟で暮らしていることから、“ケイヴマン”と呼ばれるホームレスのロミュルス。彼はかねて、悪の首領がクライスラー・ビルを根城にしているとの妄想を抱いている。ある二月の朝、洞窟の前で美青年の死体が発見された。警察は凍死と断定するが、その事件に悪の首領が関わっていると感じたロミュルスは、再調査に乗り出す。期待の新鋭が斬新な人物造形と文体で描くアメリカ探偵作家クラブ賞受賞作。
多額の借金をギャングに返すため、ギャンブラーのジョンは大金を抱え、愛車マスタングでネヴァダ砂漠を疾走していた。だが、突然車が故障した。修理のため彼は、ちっぽけな町に立ち寄るが、強盗事件に巻き込まれて大事な金を失ってしまう。金を返す時間が迫る中、彼は美貌の女とその夫の危険な関係の渦中に引きずりこまれていくが。鮮烈なタッチで描くパルプ・ノワール。オリヴァー・ストーン監督映画『Uターン』の原作。
ロス市警を辞職したジェッシイ・ストーンがはるばるとやってきたのは、アメリカ大陸の反対側、大西洋に臨む小さな町、パラダイスだった。町の警察署長が空席となり、彼がその職に採用されたのだ。パラダイスの町を牛耳る行政委員長ヘイスティは、そんなジェッシイに警戒心を抱いた。裏で不正資金の洗浄を手がけ、犯罪組織とも繋がりがあり、国民軍の名目で私兵までも率いる彼が求めていたのは、なんでも言うなりになる無能な警察署長だった。採用試験で酔っ払っていたジェッシィは、そんな狙いにぴったりの人材だった。そう、そのはずだったのだ。だが、就任早々、町の厄介者を殴り倒して見せたジェッシイは、警察署長として町に馴染んでゆき、その手腕を発揮し始める。徐々にヘイスティの真の姿に迫るジェッシイ。やがで、ヘイスティの愛人が死体で発見されるに及んで、両者の対決は避けられないものになってゆく…。スペンサーに比肩する期待の新キャラクター、警察署長ストーン堂々の初登場。
比島攻略戦がはじまって一ヵ月、作戦は暗礁に乗りあげていた。芳しくない戦況は陸海軍の齟齬を来たし、両者の溝は深まりつつあった。「陸軍はできるだけのことをしている…」「…海軍部としては動きかねますな」田中新一参謀本部第一部長と黒島亀人軍令部第一課長の互いに譲らぬ主張は連絡会議を紛糾させ、混迷をきわめた。「もうよかろう、今は駆け引きなどしているときではない」山本五十六軍令部総長の凛とした声が響き、軍令部が頭を下げることで陸海軍一触即発の危機はかろうじて避けられた。思わぬ内憂に野分礼二首相はため息をつくばかりであった。さらに新たなる敵が野分、そして日本の前に立ちふさがろうとしていた。