小説むすび | 1998年9月発売

1998年9月発売

悪意と憂鬱の英国式週末テニス悪意と憂鬱の英国式週末テニス

パトリック・チャンスはロンドンの証券会社に勤める営業マン。新しい屋敷は手に入れたし、美しい妻とのあいだに生まれた娘は可愛くてたまらないし、人生は順風満帆…なのではあるが、ここにちょっぴり頭の痛いことがある。営業成績があと一歩で目標額に達しないのだ。この目標さえ達成すれば、10万ポンドという超破格の特別手当てが獲得できるというのに-そこでパトリックが強引に計画したのが、週末のテニス・パーティだった。屋敷に友人たちを招いて優雅にテニスを楽しみつつ、手練手管の限りをつくして金融ファンドを売りつけようというわけだ。かくして、社会階級も金銭感覚も人生の目的もまったく違う四組の男女が、ひとつ屋根の下に集まった。思わぬ危機に青ざめている資産家夫婦、貧窮生活に苦しむ学者とその妻、厚顔不遜な実業家とその娘。しかもそこに思わぬ闖入者まで加わって…いかにも英国的な棘のあるイジワルが炸裂する、ブラックな笑いに満ちた悲劇喜劇。

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