1999年10月8日発売
首塚の上のアドバルーン首塚の上のアドバルーン
マンションの十四階から語り手は、開発によって次第に変化する遠景の中にこんもりとした丘を見つけ、それが地名の由来となった馬加氏の首塚と知る。以来テーマはひたすら首塚の探索となり、新田義貞の首塚から、さらに『太平記』『平家物語』のすさまじい首級合戦へとアミダクジ式につながり、時空を越えて展開する。第四十回芸術選奨文部大臣賞受賞作。
レキシントンの幽霊レキシントンの幽霊
古い屋敷で留守番をする「僕」がある夜見た、いや見なかったものは何だったのか?椎の木の根元から突然現われた緑色の獣のかわいそうな運命。「氷男」と結婚した女は、なぜ南極などへ行こうとしたのか…。次々に繰り広げられる不思議な世界。楽しく、そして底無しの怖さを秘めた七つの短編を収録。
あすも快晴あすも快晴
美人じゃないし、スタイルも並。だけど、正直で行動力のある自分を愛するOL・可奈子。内気な後輩をセクハラから守り、不倫から親友を救い出す正しく爽快な日々の中、初めて求婚してくれた男は親友の“おさがり男”。女のプライドか、幸せな結婚生活か。揺れ動く主人公の姿をユーモアたっぷりに描く痛快小説。
死神死神
市の福祉事務所に勤めるケースワーカーの仕事はひと筋縄ではいかない。難病、家庭問題、労働意欲の喪失、そして犯罪…社会の基準からはみだした「弱者」にとって最良の道とは何なのか。日々模索するワーカーたちの奮闘と遭遇する事件を通して、現代社会が抱える暗がりと人間本来の強かさを描ききる連作集。
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