1999年2月28日発売
“消耗品扱いの要員”という言葉をご存じだろうか。女だてらに未踏惑星探査を任とするわたしもその一員。この25世紀、任務遂行中に不慮の死を遂げやすい惑星探査要員には、身体的に瑕疵をもち、損失をさほど惜しまれない人員があてられるのだ。そのわたしが、帰還率ゼロの危険な惑星メラクィンの探査を命ぜられた。ついに年貢の納めどきが来たかと思いきや…期待の俊英が放つ、謎と波瀾横溢するアドヴェンチャーSF。
任務から還った者のない惑星メラクィンへ決死の探査行に赴いたわたしは、実際の星を見て驚いた。それは地軸の傾きから大気組成まで、あらゆる点で地球によく似た惑星だったのだ。なぜここがそんなに危険なのか。そもそも、地球の近接宙域にこういう惑星がどうして存在しうるのか?疑問と怖れをいだいて地表に降下したわたしの前に現われたのは、ガラスの体をもつヒューマノイドだった!ゲーム感覚あふれる傑作冒険SF。
遙かな未来、太古の殺し屋種族チェンジーム人が残した攻撃機械やナノマシンによって、人類は絶滅の危機においこまれていた。なんとか生き延びて委員会星団で暮らしていた人々は、強力な指導力を持つジュピター・アポリナリオに率いられ、宇宙船ネセレス号に乗り、人類の理想の地であるという陥穽星をめざしたが…ローカス賞受賞作『極微機械ボーア・メイカー』の著者が未来世界を舞台に壮大かつ華麗に描きだす冒険SF。
かつて陥穽星に入植した人類は、謎の疫病のために全滅してしまった。生き残った植民者たちは惑星を封鎖し、宇宙エレベータの途中にある絹市で暮らしている。だがこの陥穽星に降り立ち、無事に戻ってきたジュピターは、陥穽星こそ理想の世界であると主張し、ネセレス号の人々や息子のロトを強引に宇宙エレベータに突入させるが…10年後、さまざまな難関をくぐりぬけ、陥穽星をめざすロトを待つものは?話題の冒険SF。
最悪だースペルシンガーの命、魔法の楽器を壊してしまった。これを直せるのははるか南に住む職人ただ一人。ジョン・トムは、迷惑顔のカワウソをむりやり引き連れ旅立った。お気楽で安全な旅のはずだったのに、出会うのは危険な連中ばかり。なんと宿敵にまで遭遇し、命を狙われる始末。おまけにとんでもない事実が判明し、ジョン・トムはかつてない重大な決断を迫られることに…必笑ユーモア冒険シリーズ、遂に完結。
天性の政治家、南部小州の民主党知事ジャック・スタントンは、聡明な妻スーザンと抱いた夢を実現すべく、大統領選挙の予備選に出馬した。彼は有力候補として快進撃を始める。が、やがてヴェトナム反戦逮捕疑惑、徴兵忌避疑惑、さらに不倫疑惑と、次々とスキャンダルの嵐に襲われる…予備選を戦い抜く知事夫妻と選挙スタッフを、若きインテリ黒人の選挙参謀の眼を通して描く話題作。映画化名『パーフェクト・カップル』。
スタントン陣営はスキャンダル潰し専門の“ゴミ掃除人”を投入して、不倫疑惑問題を解決した。だが、喜びもつかの間、今度はスタントンの子供を妊娠したという女性が現われる。さらに、思いもよらぬ強力な対立候補が登場した。しかも支持率が低下する中、ついに有能なスタッフの辞任まで起きてしまう。窮地に陥ったスタントンは、反撃に転じることができるのか?大統領選の真実の姿を生き生きと描き出す政治小説の傑作。
エリザベス女王の別邸での休暇が台無しだーティアラまでつけた女王そっくりの死体が、領内で発見されたのだ。最近、王室を攻撃していた過激団体の仕業なのか?メイドのわたしは女王の命令で、密かに調査を始めた。やがて、死んだ女性の謎の多い生活ぶりが明らかになるが、その直後、第二の殺人が!小粋なメイド探偵ジェインの活躍を描くシリーズ第二弾。
32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン-。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ-。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。
豊科署の刑事・道原伝吉もひいきにしている信州・安曇野のそば店「波奈屋」の社長梅村尚子が、豊科署を訪れた。支配人の沢尻が、従業員の給料と、造園業者などに支払うため銀行からおろしてきた約三千万円とともに昨夜から行方不明だという。持ち逃げするような人間ではないようだが、金庫の番号は知らないはずだという。ところが、牛山刑事が一週間前に、乗鞍岳で沢尻の姿を見かけていた。二人連れだったようだ。事件は複雑に絡み合って、連続殺人へ。
バブル崩壊後、冬の時代を迎えた不動産業界にあって、城東不動産の若き営業課長・東堂彦馬は野望に燃えていた。東洋の仕手師として米国で大成功を収めた実業家・醍醐大五郎が帰国し、都心の土地を買い上げ巨大ビルを建築する構想をぶち上げたのだ。米国人妻を亡くし、帰国後はたおやかな大和撫子と余生を過ごしたいという醍醐の希望を叶えることによって大型プロジェクトを自社に導くため、彦馬に白羽の矢が立った。美貌の女取締役を軽々昇天させ、密命資格を得た彦馬は花嫁探しに乗り出す。米国仕込みの醍醐を満足させる名器の持ち主は見つかるか?長篇痛快官能サクセス。