1999年5月25日発売
三人姉妹、新しい神話の誕生。静謐な秋の湖にとどろく雷鳴。魂の成熟と再生、思寵の美しさ!男は水際の砂場に立っていた。風はないのに水際にはひっそりと漣が寄せている。異常なほど透明な水。だが湖の表面は両側の山陰部分だけを除いて、一面赤っぽい黄色に、ほとんど金色に染まっている。その光のきらめきの中に、女は後姿だけ見せていた。肩の広い長身の後姿が、影絵のように水から浮き出している。女がいまここに連れてきてくれたことよりも、前もって話さなかったことに、そしていまも黙って離れていることに、男は女の配慮を、彼女もこの世のものならぬこの光景を大切に思っていることを感じた。魂が不意に真空に晒される思いだ。知覚だけが異様に冴えて、感情の領域より一段下、普段は静まり返っている体の芯に近い暗い領域がひとりでに疼いて、自然に体が内側から開いてくる。
ヴァルダは家柄重視の結婚を強要され継父と口論の末、自立心を示そうと秘かに家を出る決心をする。毎年訪れる顔見知りのジプシーに頼み馬車の一隊に加えてもらおうと高価なカメラを携えて屋敷を出た。実はヴァルダには写真の心得があり将来個展を開けるほどの写真を撮ることが夢だったのだ。キャンプ地であるカマルグに立ち寄った時、この土地に惹かれ、皆と離れた。そして、危険も顧ず窪地に入りこみレンズをのぞいているうち荒馬に乗った男性に蹴ちらされてしまう。奇襲を受けたような出会いだった。
「追え、者ども、逃がすでない。柴田の首はまだぞ!」「退くな、押しとどまれ。兵数では変わらぬぞ。柴田の闘志を見せい!」真上にあった日は、山々を茜色に染めながら長い影法師を作っている。天正六年(1578)三月三十日申の刻。朝の霧中で始まった上杉五万、織田六万による九頭龍川の戦いもそろそろ終盤を迎えつつあった。上杉勢の猛攻に敗走した織田勢はちりぢりに逃げまどい、大将柴田勝家は五層九重の天守を誇る牙城、北ノ庄に籠城すべく、無念の退却を決めた。「乱杭を打て、逆茂木をくくれ。火縄の火をたやすでない」煌々と篝火が焚かれる城内では上杉勢を迎え撃つ準備がなされていく。勝家は天守最上層から外の様子を眺めては、末期の酒を傾けていた。“越後の龍”こと、上杉謙信との決戦の時が目前に迫りつつある-。信長父子の必勝戦策-血戦、賤ヶ岳。
世界最強の名をほしいままにする米第58機動部隊がマリアナへ近づく。昭和19年6月11日、第303航空隊は紫電改を駆って、グラマンを撃破すべく、テニアン島を飛び立った。来襲した敵機を見事に撃破した“空の艦隊”戦闘機群であったが、米攻撃隊によるマリアナ空襲は今日のみでは終わらない。明日は必ずや温存していた強力な戦闘機を繰り出してくる。テニアン地下司令室で、第一航空艦隊の情報参謀中島中佐と、航空参謀の淵田は額を寄せ合い、対応策を練る。一方、レキシントン2では司令官ミッチャー少将と同参謀長のバーク大佐が、優位に迎撃戦を進める日本軍に対して罠を仕掛けるべく、談合を続けていた。日本の航空戦力を無力化する作戦とは…。燃ゆるマリアナ上空-死力を尽くす大航空戦。
元気者の河合朱里は、高校入学直後の体育祭の練習中に足を骨折して入院するハメに。ただでさえふてくされているところへ、見舞いにきたクラスメイト達と一緒に、苦手な日下京平の姿があった。なぜか皆が帰っても残った日下に、河合はなんとか話しかけるが、会話が成立しない。しかも、河合が動けないのをいいことに、いきなりベッドに押さえ込まれて。
人間の言葉をしゃべる猫たちの集会を盗み見るまで、山田紀子は、平凡な家庭の平凡な42歳の主婦だった。捨て猫タマを拾い、猫たちの集会を覗いたあの夜以降、山田紀子は地球環境の危機を訴え始めるようになった。そして、わずかなメンバーで環境保護団体「ブルー・アース」を設立した。その運動の波紋は、みるみる世界規模に広がっていった。一方、タマの口から驚愕の真実が告げられるのであった。
中国より初来日!本家本元の封神演義。中国の文化人が日本の読者のために総結集!本家がまとめた、これぞ本物の封神演義!原文を活かしつつ読みやすい長さに改篇!中国の画家による挿絵!豊富な写真入り解説付き!今甦る元祖・封神演義の姿。