1999年6月10日発売
’98年に小説誌等に発表された約800篇もの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が厳正な審査を経て選んだ20の日本で唯一最高のミステリー傑作集。
ヨハンナに続くアンナは、学歴と名声と豊かさを手に入れた。しかし、夫の不倫に悩み、ついには別居を決意する。自分自身を取り戻すため、母親と祖母の生きた時代を旅してみようと決意するアンナ。そこには信じられない事実と、連綿と続く愛の系譜があった…。「母の不幸は愚かだったことではない。言葉を持っていなかったことだ」。時代と運命の渦に翻弄された3世代の女たちが、断絶と和解を繰り返しつつ、心のなかに安息の地を見つけ出すまでを描いた「現代人必読の書」。
女三の宮、宇治の大君・中の君、浮舟など、主だった女性たちの登場で、物語はいよいよ佳境へ。複雑に絡みあう恋人たちの愛のもつれを丹念に解きほぐし、物語の女君たちに、一人称で心の内を語らせた新しい恋愛小説。千年を隔てた恋愛小説の競作。
小雨のそぼ降る朝、茨城の山中の寺が突如爆発、炎上した。同じ日、千葉・木更津付近の路上から、富津の東京湾観音へとタクシーに乗り込んだ不審な少女が-。観音像の足下で、その少女が力なく倒れたとき、ポケットから爆発事故ともつながる一冊の書物が転がり落ちる。カウンセラー・岬美由紀は少女の危機を予感し救済に立ち上がるが、行く先には想像を絶するスケールの複雑な罠が仕掛けられていた…。映画化話題作『催眠』を知る人にも知らない人にもいっさいの予断を許さない大胆な続編。抜群のスピード感で展開する、極上エンターテインメント・サスペンス。
「追われている。殺されるかもしれない。そうだ、テンプル騎士団だ」ミラノの出版社に持ち込まれた原稿が、三人の編集者たちを中世へ、錬金術の時代へと引き寄せていく。やがてひとりが失踪する。行き着いた先はパリ、国立工芸院、「フーコーの振り子」のある博物館だ。「薔薇の名前」から8年、満を持して世界に問うエーコ畢生の大作。
中世から放たれた矢は現代を貫通し、記号の海で歴史が改編される。カバラ、薔薇十字、カタコンベ、エクトプラズム、クンダリニー蛇、賢者の石、黄道十二宮、生命の樹、カンニバリズム…「フーコーの振り子」へのパスワードは何か?20世紀最後の知の巨人、エーコがおくる、極上のワインの酔いにも似た、めくるめく文学の愉悦、陶酔。