1999年8月30日発売
発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語ー。「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
鰹、白魚、鮭、柿、桜…。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代ミステリー・ワールドへご招待!
祖母は言った。「ほんとにまあ、どうして作家なんぞになったもんだか」それは、ピギー・スニードがいたからだ。豚を飼い、豚と暮らしたこの男が、豚ともども焼け死んだとき、少年アーヴィングの口をついて出た嘘話。作家の仕事は、ピギーに火をつけ、それから救おうとすることなのだ。何度も何度も。いつまでも。創作の秘密を明かす表題作とディケンズへのオマージュに傑作短篇をサンドウィッチ。ただ一冊の短篇&エッセイ集。
幼い頃、父と母は離婚した。母は新しい恋人と海外へ。父もやがて再婚し…。娘をかえりみない子供のような親。抵抗のすべを知らない子供。世界を静かに覆しつつある新しい家族像を、自らの体験をもとに、柔らかな声で描いた、21世紀文学の幕開けを予感させる長篇。ドイツ語圏の文学賞を独占した23歳の新人の、繊細、果敢な話題作。
“悪く生きる”より“よく死にたい”。“モンゴル人がモンゴルで生活することが、なぜ許されないの”。希望だけを心の支えに、生き抜いてきた日々-。『草原の記』のヒロインが自ら語る波瀾に満ちた半生。