1999年9月30日発売
101日間の太平洋漂流の末たどりついた南の島から、孫太郎の数奇な半生は始まる。一奴隷としての苛酷な生活のなか、仲間は次々と倒れてゆく。奴隷女アニタとの恋、首狩り族との対決、さまざまな事件があり-やがて孫太郎の目の前に日本へと向うオランダ船が現れるのだが…今から200年程前、江戸時代半ばのことであった。
真犯人を捜し求めて二十年の歳月が流れた。犯人を突き止めた私は、再び深い苦悩にとらわれることになった。妻を殺したのは、結局私だったのかもしれない…。新天地ロサンゼルスでの、あの生涯最悪の一夜。リビングルームに眠る妻、首に絞殺の跡。警察の杜撰な捜査、日系社会の誹謗中傷。長く果てしない闇夜に私は二十年間さまよった。自らの体験にもとづいて、ためらい躓きながらも、何者かに導かれるように完成をみた感動の大作。
いつまでたってもモンスーンがやってこない暑い夏に、最初の雷雨とともに生まれた赤ん坊。長じて郵便局員になった彼は、仕事もいやだし生活もうんざり…。舞台はインド。人の手紙を開封しては、見知らぬ土地に夢を馳せる毎日。なぜだか郵便局長の娘の結婚式で尻丸出しで踊ってクビ。あげく突然グアヴァの樹に登る。なんの因果か聖者様と崇められて、とりまく信者に珍妙なる警句、これまたなぜだか起こる家族スパイ警察軍隊猿まで巻き込む大騒ぎの顛末は…?饒舌な語り。繊細な観察力。奔放な想像力。マサラな香りを漂わせる異色の文学の収穫。98年度ベティー・トラスク賞受賞。
眠らない大都会ニューヨーク。救急救命士の俺は、今夜も静かな夜は過ごせない。心拍停止、呼吸困難、薬物中毒、銃撃事件、交通事故…大都会の夜は、生と死のせめぎあいに満ち溢れている。かつては俺も、そこで人々を救い、それを楽しみ、そこに参加することに生きがいを感じていた。だが、黄色いレインコートを着た少女、ローズを救うことが出来なかった、あの夜からすべては変わった。死んだはずのローズが俺の行く先々に姿を見せ、俺にあの夜を忘れさせてくれないのだ。妻は俺を捨て、仕事のミスも多くなった。救急救命士の仕事は、もはや俺の生きがいではなくなってしまったらしい。そんなある夜、心臓発作を起こした老人の家に呼ばれた俺は、そこで不可解な体験をする…自らも救急救命士であった著者が、その実体験をもとに描き出す、生死と愛憎のドラマ。ニコラス・ケイジ主演、マーティン・スコセッシ監督で映画化の話題作。
日照りに見舞われた夏。干上がったダム底の廃校で肝試しの怪談「百物語」を行った悪童たちは、とんでもない怪物を呼び寄せてしまう!それから二十年、再び廃校に集った関係者たちを“復讐者”が一人また一人と屠っていく。犯人は誰か、その動機は?日本推理作家協会賞受賞作『沈黙の教室』から五年、叙述トリックの粋を凝らして恐怖と謎を紡ぎあげる入魂のダーク・サスペンス“教室シリーズ”第二部。