2000年7月30日発売
石ノ目石ノ目
ある夏休みに私は、友人とあの山に登ることにした。私が幼い頃、あの山に一人入って消息を絶った母親の遺体を探すためだ。山には古い言い伝えがあった。曰く「石ノ目様にあったら、目を見てはいけない。見ると石になってしまう」と。そして、私たちは遭難した…。斬新な文体で新しいホラー界を切り開く乙一の短編集。書き下ろしを含め四編、ここに登場。
マルコ・ポ-ロと私マルコ・ポ-ロと私
1298年、ジェノヴァの牢獄。マルコの口から奔出する「東方の記憶」。驚異にして脅威の話を“私”は書き写す。語られる物語は、やがて“私”の筆の中で、もう一つの物語へと胎動し始め…。
生きる歓び生きる歓び
死のぎりぎりの瀬戸際で「生」に目覚めた片目の捨て猫。その存在の輝きが見事に結晶した「生きる歓び」。故・田中小実昌との懐かしい交流をもとに、「死者」をめぐる回想と批評の混淆空間を開示する異色の追悼小説「小実昌さんのこと」。生の中の死を見つめ、死の中の生を描く二編。
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