2000年9月25日発売
あたりを払って誇り高く咲くキレンゲショウマ。「私はこの花に会うため、お山さんに来たのではないか」珠子は心打たれた。吉野川沿いの養護施設で育った珠子は、十五歳で霊峰・剣山にある神社の神官の養女となる。清澄な自然を背景に、無垢な魂を持ち続ける少女の成長と恋を描き、新鮮な感動を呼ぶ長編。
剣道達人のトンキチが通う高校の裏手に、通称“神隠しの森”と呼ばれる立入り禁止エリアがある。そこで行方不明事件が続出しているのだ。トンキチの両親も“向う側”へ連れ去られた。トンキチは、同級生の聖子、新担任で超常現象研究家と自称する具蓮寺センセー、その姪でやたら色っぽい澄子らと協力し、魔界の“影人”に戦いを挑む…。
ガダルカナル島撤退以降も、ソロモン諸島の攻防は激化の一途をたどる。再び小沢中将の下、参謀長に返り咲いた森は、夜間部隊再建に乗り出す。勢いづく連合軍を迎え撃つには、機動部隊による漸減作戦しかない。幾度となく繰り返される海戦で、森の計画はそれなりの成果を収めていくが、艦隊の損害も徐々に無視できぬほど大きくなりつつあった。これまで森の夜間作戦に苦しめられてきたアメリカ側も、次第にそれに対応しうる力を身につけ始めていたのである。ついに、戦場は-日本の絶対国防圏-マリアナ諸島へと移った。マリアナへ迫りくるスプルーアンスの大艦隊。背水の日本海軍、そして森はいかなる戦いを挑むのか?“漆黒艦隊”史上、最大の激闘!感動の完結篇。
「タ、ターレット?櫓か?」土煙の中から姿を現わした巨大な櫓にドイツ兵は驚愕する。「や、やつら、火星人の兵器を手にしやがった!」オーストリア=ハンガリーの皇太子暗殺に始まった戦争の火花は、欧州にとどまらず、今や世界中に広がっていた。後世、世界大戦の名で呼ばれる戦はすべての規模で桁違いだった。むろん、兵器は言うに及ばずだ。それでもドイツ兵が見上げた兵器は、あまりにも異形であった。三本の脚で支えられた櫓。三脚とは別に金属の触手が無数にうごめく。十四年前、突如、地球に侵攻してきた火星人の兵器をイギリスは手にしていた。第一次世界大戦は一九一八年、ドイツの降伏によって終結する。が、それは混沌の時代の始まりでもあった…。