2001年12月15日発売
年老いた俳人・片岡草魚が、自分の部屋でひっそりと死んだ。その窓辺に咲いた季節はずれの桜が、さらなる事件の真相を語る表題作をはじめ、気の利いたビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤が、謎と人生の悲哀を解き明かす全六編の連作ミステリー。第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。
俺はけだもの同然、人間の形をしたゼロだった。師匠に拾われ、誰一人なしえなかったことをやってのけた。各地を巡業し、人々を魅了した…。20年代を背景に“空飛ぶ少年”の飛翔と落下の半生を描く、ポール・オースターのアメリカン・ファンタジー。
死人の軍勢を追撃するイシュトヴァーンのゴーラ軍は、竜頭の怪物兵に遭遇し、思わぬ闘いになる。いっぽうグインが率いる軍勢は、ゴーラ軍の近くをかすめるように進軍し、妖気漂う街、シュクへ到着。グインはレムスと会見し、ヤンダル・ゾッグはナリスの命を盾にグインを恫喝しようとする。しかしグインは逆に、ヤンダルの魔宮、クリスタル・パレスへ入ることを希望する。彼の帰還を阻むであろう魔性の存在を知りながら。
日照りに見舞われ、干上がったダム底から緑山中学校の旧校舎が不気味な姿を現わした夏。廃校で肝試しの怪談「百物語」を行った悪童たちは、とんでもない怪物たちを喚び出してしまう!あまつさえ殺人までも!荒れ狂う暴風雨の闇を動き回るスパルタ教師、連続婦女暴行魔、過激派の女闘士。息継ぐ間もなく襲いかかる悪夢、また悪夢。日本推理作家協会賞受賞作『沈黙の教室』につづく、入魂のダーク・サスペンス第2弾。
「百物語の夜」から20年後。ふたたび干ばつで湖底から現われた廃校に、かつての事件関係者たちが思い出を語り合うために集った。が、彼らを待ち受けていたのは、信じがたい悪夢の再現だった!クラスメートを一人また一人と屠っていく“復讐者”とはだれか、その動機は?“折原ワールド”の全ガジェットが総動員され、深まる謎。前作『沈黙の教室』を上まわる複雑極まりない叙述トリックが生み出す眩暈と戦慄の傑作。
1881年10月26日。歴史に残るガンファイトがアリゾナ州トゥムストーンの町で行なわれた。クラントン兄弟を中心としたカウボーイたちと、町の治安を預かるアープ兄弟が、正面から激突したのだ。決闘の場となったOKコラルは銃声と硝煙、そして血に覆われた…歴史に名高い「OKコラルの決闘」。その中心となった伝説の男、ワイアット・アープの真実の姿を、スペンサー・シリーズの巨匠が、史実と自由な発想を交えて描く、入魂の本格ウエスタン。
東京湾から英国人女性の死体が!日本で暮らした気鋭の女性作家が甘美な罠を仕掛ける心理サスペンス。ルーシーによって語られる禎司、リリーとの恋愛をめぐる歪んだ感情と悲劇。そしてその語りの中に仕掛けられた甘美な罠。東京を舞台に描く芳醇な心理サスペンス。2001年度英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作。