2001年3月31日発売
ベトナム特儒に沸く横浜港に流れついた四人の男。ガン、サクジ、トミヤス、キサン。彼らの遊びはきまって一人が抜ける三人麻雀だった。あてどのない流謫の日々、つかのまの花見の宴。いつも男たちの胸に痞える大きな石のようなもの。悲しみと寂寥の正体は何なのか。男たちの流浪を描く傑作長篇小説。
知らなかった。祖国を永久に喪失しようとは…「わたしたち、プラハで知り合いになったのでしたね?まだ、わたしのことを憶えていらっしゃる?-もちろん」亡命していた男と女はパリの空港で再会した。まだ若く魅力的な女イレナはパリから、かつてのプレイボーイでもはや初老の獣医ヨゼフはデンマークから、20年ぶりの故郷へ「帰還」する旅だった。そしてそれぞれの故郷に帰っていくふたりを待ち受けていた残酷で哀切極まりない運命とは…。
事件はカナダ北部の湖畔に臨む小さな町、マードックで起こった。2人のティーンエイジャーの少女が行方不明となり、警察の懸命な捜索でもまったく発見できないのだ。まもなく、少女たちが通っていた学校の教師が逮捕された。彼女たちが行方を絶った日、2人を車に乗せて帰るのが目撃されている。車の後部座席からは血痕も見つかった。少女たちの遺体が発見されないまま、教師は殺人罪で起訴された。若き弁護士クレインは、全国的に注目を浴びている少女失踪事件裁判の被告を弁護するために、はるばるトロントからやってきた。勝訴のためなら偽証も辞さない辣腕家で知られる彼は、さっそく町の古いホテルに投宿し、被告となった教師と接見する。殺人罪を立証する遺体が未発見なので、状勢は圧倒的に有利だ。だが、教師の様子はクレインを不安に陥れる。やがて、ホテルで公判の準備に明け暮れるクレインは、奇妙な現象に悩まされはじめた。鳴りやまない電話、囁く声、白い人影…。事件にも、どこか不可解なところがある。図書館で町の歴史を調べた彼は、そこで…。カナダで発表されるや絶賛され、英米をも席捲した注目作登場。
物語は2008年のアメリカ。世界有数のバイオテクノロジー会社とFBIの女性長官は〈良心〉というプロジェクトで、男性のみが有する犯罪誘発遺伝子を破壊するため、特殊なウイルスを開発しようとする。それにより、暴力犯罪を劇的に減少させようというのだ。しかしFBI特別捜査官デッカーは、そのプロジェクトの被験者を密かにDNA鑑定し、遺伝子が異様な形で改変されていることを知る。やがて、ウイルスに感染した男性たちが次々と変死していく。事件の裏では「クライム・ゼロ」という恐るべきシナリオが進行していたのだ。悪は根絶されるべきなのか?ヒトゲノムがもたらすユートピアの悪夢を描いた傑作冒険ミステリー。
アルストーン公爵は、伯爵夫人デイジーとの情事に倦怠を感じていた。別邸でのパーティーでも刺激を求め趣向はエスカレートする一方である。ある夜、レディは仕立てられるかを巡り友人と大金を賭けてしまう。そして世間知らずのモデルとして修道院の付属学校を卒業した姪を迎える。ロレナは、牧師だった弟の一人娘で三年間で美しく成長していた。その上教養も高く、社交仲間にも臆さず次第に人気者になっていく。ロレナの清純さに打たれた公爵はデイジーに別れ話を切りだした。だが、逆上した彼女に銃を向けられる。
神々の島、ハワイイに魅せられた人々が夢をつむいだ一軒の屋敷。そこに交差した青春を、ほろにがく回想する入魂の掌編小説。海の写真家、芝田満之の至福の映像とが織りなすファンタジーの世界。