2001年7月30日発売
清朝・雍正二年(一七二四)。太祖ヌルハチ以来の名家に生れ、遊蕩の日々を送っていた傅蘭が、北京の胡同で、ジュリアン・李と名乗る若い天主教の学僧と出会ったことから、全てが始った。天上の神は信じないフランだったが神父や信徒たちの一途さには好意をもってゆく。そして皇族の血を引く蘇努一族の娘マリアに心をひかれる。だが、男女が同じ場所に集い、天上の神に無償の祈りを捧げる天主教の教えは、皇帝を絶対のものとする中華の考えと相入れない。最高権力者・雍正帝は、同じヌルハチの血を引く蘇努一族に対して、天主教徒を理由に苛烈な弾圧を始める。そのなかにマリアもいた。権力の嵐の中で、天主教一族は!そしてフランは!気鋭の書き下ろし渾身作。
嘉永三年、十三歳の彦太郎(のちの彦蔵)は船乗りとして初航海で破船漂流する。アメリカ船に救助された彦蔵らは、鎖国政策により帰国を阻まれ、やむなく渡米する。多くの米国人の知己を得た彦蔵は、洗礼を受け米国に帰化。そして遂に通訳として九年ぶりに故国に帰還し、日米外交の前線に立つー。ひとりの船乗りの数奇な運命から、幕末期の日米二国を照らし出す歴史小説の金字塔。
下心なんて持たなければ、命取りにならなかったのに!誰もが思い当たるあの瞬間。携帯電話、車、一人暮らしの部屋、カフェ、電話の声…恋に潜むペーソス、シニシズム、孤独。現代のパリの日常を軽妙なタッチで描いたパノラマ12シーン。フランスで久々のベストセラー短篇小説集。
二十年ぶりに刑務所をでた共産主義者。色白の少女を手にしたスカウトマン。刺激を求めて北朝鮮へとぶ劇団主宰者。賞をねらうAV監督。重い過去をもつ不安神経症者。中学時代を振りかえる元銀行マン。そして、死体ビデオ撮影をはじめた友と、育児ジャンキーと化した妻と僕。…甘い薫りに包まれた、連作小説全七編。
比類なき大江戸暗黒小説。鬼才・富樫倫太郎の渾身作、ついに登場!時代小説の面白さの軸をなすのは熱気と筋立てである。破天荒と緊張とリアリティの三つが融合して燃え盛っている。どの登場人物にも火がある。その連続の爆発が心地好い。これに眩暈を覚えない読者は一人もいないだろう。