2001年8月10日発売
〈桜桃忌〉に出られなかった事から太宰治を回想する「玉川上水」、敗戦直後郷里に疎開した頃の日常を描き飄逸味を漂わせた「耳かき抄」。表題作をはじめ「逢びき」「下駄の腰掛」「山つつじ」「川風」「柚子」「御水取」など身辺の事柄を捉えて庶民のうら哀しくも善良でしたたかな生き方を綴った諧謔とペーソス溢れる木山文学の真骨頂、私小説的作品を中心に新編集した傑作11篇。 玉川上水 耳かき抄 逢びき 鳴るは風鈴 コレラ船 下駄の腰掛 山つつじ 川風 柚子 最低 御水取 著者に代わって読者へ 木山みさを
骨太の書下ろし傑作エンターテインメント!鬼気迫る、新田次郎賞作家の新境地。死を覗く女あり。東北の地、谷間の小村。魅惑の村おこしプランは、古の採燈祭を復活させた。忍び寄る何物かの群。生と死の臨界は、驚愕と戦慄の真実によって破られる。
津元陸耶は新しくクラスメートになった泉川京に告白されてウキウキ。シャイなくせにまっすぐ人の目を見つめて話す京の視線に陸耶はヤラレていたのだ。要領よく恋愛のおいしいところだけを摘んできた陸耶に本気の恋が訪れた予感。真面目な京を無理やり誘ってその気にさせて、コトにおよばせることができた陸耶はご満悦。陸耶なりに真面目な恋愛をはじめるが、過去の経験はなくならない。嫉妬をぶつけられてこれ以上深入りするのを恐れた陸耶は、京をつきはなそうとするのだが…めげない京は強行突破。
3年前に知人の人気レーサー雅和を事故で失った啓希は、かつて夢中だったバイクから離れた生活を送っている。そんなある日、ケンカの仲裁に入った啓希は、そこで年上の大学生をボコボコにできる鼻っ柱の強い少年、鳴海に出会う。以来、啓希を気に入ったらしい鳴海から追いかけられるようになるが、雅和の死から立ち直っていない啓希は取り合わない。だが、鳴海が雅和と同じバイクに乗っていると知り…。
「火山島」は1948年から49年にかけての南朝鮮を舞台に、済州島四・三事件と親日派処断問題を二大支柱として構成され、金石範のライフワークとして結実した一大長編小説である。本書は、これを主として政治・社会的視点から論ずる意欲的試みである。