2001年8月発売
弁護士見習いの可南子は、奇妙な依頼を受ける。依頼人・塔子の父・榎本修吾が愛した女たちをたずね歩くというものである。8人の女たちは、それぞれが独自の修吾との過去を持っていた。一人の男をめぐる様々な愛の形を知ることは、いつしか可南子をも変え…修吾を一番愛した女は誰なのか?可南子が出会った、思いもよらない真実とは?プライドという名のもとに、女の心理を描き出す連作長編ミステリー。
あやしげな老紳士と就職浪人の青年が手を組んで、預金量第三位の大都市銀行をはめ殺す!知略の限りを尽くした「五週間戦争」の果てに待つものは…。すべてが市場化する世界を、精緻に痛快に描き切る新世代の経済クライムサスペンス。
俺の人生に大逆転劇を起こす!ネットで武装し、暗い部屋を飛び出た引きこもり少年は、いかにしてニッポンに叛逆したのか?国家の象徴トキをめぐる革命計画「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」とは何か?研ぎ澄まされた知的企みと白熱する物語のスリルに充ちた画期的長篇作品。
老医師には、その夜まで特に変わったようすは見られなかった。だが、勤め先の老人ホームでいつものように職員たちに声を掛けたあと、駐車場から車を出して帰宅の途についたはずの彼は、そのまま煙のように消え失せたのだ。当初は警察も事件性は薄いと見ていたが、その後九週間を過ぎても、その消息はまったくつかめなかった…失踪したダウ・パーセル医師の前妻フィオナの依頼で、マスコミを騒がせたこの失踪事件を調査することになったキンジーだったが、調査は遅々として進まない。老医師の家族関係は二度の結婚で複雑に入り組んでいたうえ、勤め先の老人ホームには医療詐欺の疑いがかかっている。69歳のダウを失踪に走らせたのは、どちらの理由なのか?そもそも、彼は自らの意志で失踪したのだろうか?粘り強い調査を続けるキンジーは、やがてある発見をするが…。ファンの熱い支持を受け、好調にミステリ界のトップを走り続ける人気シリーズ。人生と社会の闇に挑む、最新作。
早朝ミサの準備に、祈りを捧げようとした神父の目に、おぞましい光景が焼き付いた。極彩色のステンドグラスに照らされた祭壇のイエス・キリスト像の首が外され、代わりに生首が載っていた。ロス市警から目と鼻の先のヒスパニック系教会で起こった事件だ。現場に駆けつけたのは、ロス市警で狂竜“マッド・ドラゴン”の異名を持つ大倉竜也警部補と相棒の初級刑事クリス・ゴードン。現場検証をする二人が生首を見ると、首の切断面はパラフィンで覆われ、血液は一滴も垂れていない。「食いつきゃしねえよ」竜也が口をむりやりこじ開けると、中から小さく折り曲げられた紙が覗いた。開いてみると、508-22・07という数字が-。L.A.を舞台に日本人警部補が事件を追う超弩級の国際アクション誕生。