2001年9月4日発売
映画化原作ーー世界のノワール・ファンを震撼させた名作がニック・カサヴェテス監督で映画化。 「このミステリーがすごい!」第1位! イギリス推理作家協会・最優秀新人賞受賞! 「ゼロ年代ベスト・ミステリ」第3位!(早川書房「ミステリが読みたい!2011年版」) 時代を超えて衝撃を与えつづける〈暴力の詩人〉ボストン・テランの不朽の名作。 憤怒。それを糧にボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を誘拐したカルト集団を。復讐の旅の道連れはケイスーー奴らに捕らわれ、その地獄から生還した女。敵の棲む砂漠の彼方、文明の果ての荒野へと、ふたりは憎悪と銃弾を手に踏み込んでゆく。 鮮烈にして苛烈な文体が銃撃と復讐の宴を描き出す。異形の言葉たちが高熱のとぐろを巻いて唯一無二のグルーヴをうねらせる。発表とともに国内外の作家・評論家の絶賛を受け、刊行から20年を経てもなお熱っぽく語り継がれる、ゼロ年代最高のノワール。
「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。
維新後も龍馬の妻として生きたお龍。三味線を抱いて高杉晋作の墓守を続けるうのー。幕末動乱の時代に、駆け抜けるように死んでいった志士を愛してしまった女たち。新しい時代にとけ込めず、世間から逃げるように生活する女たちの胸の中に生き続ける男の姿。その想い出が鮮烈であるがゆえに悶え苦しむ女たちの悲しい物語。
“魔性の女”ズィーニアの正体は?──人生を弄ばれた、三人の女性に執拗に取り憑くズィーニアの影が、再び三人を危機に追い込む。その結末は……。 ──アトウッド自身「自分の作品の中でも、いちばん翻訳しにくいかもしれない」という翻訳者泣かせの労苦にもかかわらずやってこられたのは、作品の面白さである。アトウッドの手法はユニークである。推理小説ではないが、次に話がどう展開するのだろうか、と読者を先に急かせるサスペンスがある。読み手側がこうなるのではないか、と思いながらもとんでもないどんでん返しがある。結末についてはなかなか分からない。エンターテイメント的要素もあるが、心理描写はさすがで、哲学もあり、知的小説である。暗いテーマを扱いながらも、辛味の効いたウイットとユーモアで軽みをだす。さすがである。彼女の中では物語が枯渇するということがないのではないかと思う。(「訳者あとがき」より)