2002年2月発売
実力もセンスもあるが不器用な生き方しかできない美容師・柊二と車椅子のハンディキャップを前向きに転化させて生きる図書館員の杏子。そんな2人が出会い、恋をした必然の日々。大人気ドラマのノベライズ!
29歳を迎えた真緒の日々は、ブルー一色。年下の男との恋は遊びに終わり、結婚に逃げ道を求め見合いをしても見事に失敗。その上、会社ではリストラの対象にされて。恋も仕事も、すべてが中途半端。そんな真緒の背中を押すのが3度の離婚を乗り越え今また新たな恋に燃える母と、シングルマザーの道を選ぶ大学時代の友人さつき。30の大台を目前に、自分の足で一歩を踏み出そうとする真緒の一年。
夫の赴任先のパリで借り受けた緋色の部屋には、縫い針が散乱し、死んだはずの持ち主の女を訪ねて、他人が入り込んでくる。このアパルトマンは怖い-。恐怖を覚えた私はかつての見合い相手に会い、暮らしに慣れていくが、その彼もまた、母親に心を壊された過去を語りはじめる。そして私の最愛の息子もまた…。母と子の悲劇が轟く長編小説。
国民的な人気をほこる村本啓太郎総理が57歳の若さで急死した。日本の今後を憂える私立探偵・木野塚氏の周囲に、総理が推進する政策を阻止したい勢力による暗殺らしい、という不穏な噂が駆けめぐる。気がつくと、こんな重大事件の真相調査に巻き込まれていた木野塚氏の運命や如何に!私立探偵・木野塚氏の推理が冴える(?)書き下ろし大爆笑ハードボイルド。
妻が引き起こした嬰児誘拐事件によって退職を迫られている歴史教師が、生徒たちに、生まれ故郷フェンズについて語りはじめる。イングランド東部のこの沼沢地に刻まれた人と水との闘いの歴史、父方・母方の祖先のこと、少女だった妻との見境ない恋、その思いがけない波紋…。地霊にみちた水郷を舞台に、人間の精神の地下風景を圧倒的筆力で描き出す、ブッカー賞受賞作家の最高傑作。
「井伏さんは悪人です」。太宰治の遺書の謎に迫る本格評伝ミステリー 太宰治といえば常に死を追い求めるひ弱な男で、ついには自分に『人間失格』の烙印を押して死を選んだ、というイメージだった。本作では、遺書に書かれた「みんな、いやしい慾張りばかり。井伏(■二)さんは悪人です」という一文に着目、綿密な取材によって、師と仰いだはずの文豪との確執や、度重なる自殺未遂に隠された目論見などを解いていく。ここで描出された太宰はけっして厭世的な男ではなく、小説のために目標を設定しては破壊する勤勉さを持ち、懸命に生きようとしていた……固定観念に縛られた従来の評伝では見えなかった人間くさい太宰は、妙に魅力的である。河村隆一主演で映画化も決まった『日本の近代 猪瀬直樹著作集』の第4巻。
小説家ジェラルド・キャンドレスは7月6日に71歳で永眠した。1926年5月10日生まれ-父の回想録の執筆をもちかけられたキャンドレスの娘サラは、自分が父の過去をほとんど知らないことに気づいた。さっそく調査に着手した彼女は出生証明書を頼りに父の親類らしき老女を突き止めるが…「ジェラルドはあたしの弟よ。五歳のとき髄膜炎で死んだわ」古びた死亡証明書を前に、愕然とするサラ。父は、ジェラルド・キャンドレスではなかったのだ。では、いったいどこの誰だったのか。不安を押し殺して調査を進める彼女が突き止める衝撃の事実とは。
フリーライター・倉橋渡の許に、父親からの電話が入った。妹の良美が車に撥ねられ、意識不明だという。二カ月後、兄妹で合作し、コンクールに応募したシナリオ「愛を運ぶオウム」を人気スター・榊修輔主演でドラマ化したいという話が持ち上がる。そのオウムにはモデルがいた。人間の言葉を理解し、会話する天才オウム・パル-。
「まさか考えたことがないのか。自分以外の誰かになるってことを!?」忌まわしき殺人者アーケンハウト。彼は、性的欲求を満たすためでも、金品を強奪するためでもなく、ただ相手の「人生」を奪い取るためだけに殺人を犯しつづける。そんな彼が、名画窃盗犯である大学教授の「人生」を盗んでしまったことから、破滅への道を歩き始める…。人間の深層の欲望を鮮烈な筆致で描いた傑作ミステリー。