2002年4月23日発売
現代韓国短篇選 上現代韓国短篇選 上
未来へと駆けてゆく90年代の短篇群を収める。あのように揺るぎなくみえた韓国の家族の結びつきにさえ時代の息吹が急速に打ち寄せる。旧弊なる村人や役人と果敢にやりあうパワフルなキッチン・ドリンカーのバツイチかあちゃんに新時代の息吹を感じさせる「かあちゃんはシングルマザー」、家族に持てあまされ見放された「アンビシャスな悪ガキ」の警察署に託された日々を描いてしみじみとした哀歓の満ちる「警察署よ、さようなら」など、新しいステージに立って戸惑い、この現在に屈託する心を持ちながら今に臨む人々の素顔が浮かび上がる。収録の諸作品はいずれも現代を斬新な切り口から鮮烈な感覚で描き出す。
会いたかった人会いたかった人
25年ぶりの親友との再会。TV出演した小夜子を見て連絡をとってきた女は、まるで別人のように変貌していた。うずまく疑念、そして…。表題作「会いたかった人」。他に男と女の妖しく美しい愛の行き着く果てを描く「倒錯の庭」、犬を飼い始めてからはじまる不運にみずからとりつかれていく男の物語「災厄の犬」を収録。静かな狂気を描くサイコ・サスペンス短編集。
やさしく殺してやさしく殺して
角丸真理子は父の反対を押し切って、屋敷芳樹と結婚した。小野和人という恋人をふっての決断だった。しかし、新婚生活のスタートとともに地獄ははじまった。言葉の暴力ーそれも叱責や罵倒ではなく、やさしい皮肉。真理子の神経を柔らかく包み込むように、夫の言葉が鼓膜から脳髄へと侵入していく。精神の限界に到達した真理子は、ついに決断した。「やさしく殺して…」。
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