2002年4月25日発売
幼い日、母の死と父の会社の倒産という悲しみを体験した渡辺美樹は、小学校の卒業アルバムに「社長になる」という夢を記した。大学卒業後、経理会社で経理を覚えた渡辺は、「大卒」と罵倒されながらも佐川急便のセールスドライバーとして働き、起業資金を稼いだ。学生時代に創業の夢を誓った仲間たちと、居酒屋「つぼ八」のフランチャイズとして遂に会社設立にまでこぎつける。お好み焼きチェーンの立ち上げ、サントリー、日本製粉との提携というチャンスも訪れるが。急成長を遂げたベンチャー、ワタミフードサービスの成功を実名で描くビジネス小説の傑作。
ワタミフードサービスを率いる渡邉美樹は、山積する課題に直面していた。フランチャイズ店の不振、売り上げ減少で迫られる業態転換、事実上の子会社化を求める大企業との攻防、仲間との別れ。一方で低価格路線の新ブランド「居食屋和民」は順調に軌道に乗り、不屈の闘志で困難を乗り切った渡邉は、かつて「僕が語る夢には日付が入っています」と妻に約束した念願の株式店頭公開へ向け、着実に歩み続ける。家族、友情、取引先との信頼関係に支えられ、ベンチャーに乗り出した男の、爽快なサクセスストーリー。
中山国はこの世から消え去るのかー。隣国趙と成立した講和は一方的に破棄され、趙の苛烈な侵攻は再開した。中山国の邑は次々に落ち、そのさなか中山国王も没した。そして首都の霊寿もついに陥落する。東西の辺土を残すのみとなった祖国の存続をかけ、楽毅は機略を胸に秘め、戦火の消えぬ中山を離れ、燕へと向かった。抗い難い時代の奔流のなか、楽毅はなにを遺そうとしたのか。
ついに中山国は滅亡した。祖国を失った楽毅は趙の主父から仕官の誘いを受けたが、折しも王位の継承をめぐり趙では内戦が勃発。主父は無惨にも餓死に追い込まれた。諸国を転転とし雌伏のときを過ごしていた楽毅の前途に光明がさす。楽毅の将才を高く評価する燕の昭王が三顧の礼で迎え、大望を託そうとしていた…。三国志の諸葛孔明、劉邦らを魅了してやまなかった名将を描く歴史巨編。
はじめてのキスは乾いていて、なめらかで、日ざしの温もりをたたえていた-1960年の夏、ボビー、キャロル、サリー・ジョンの仲良し3人組は11歳だった。夏に終わりがこないように、永遠に友情が続くと信じていた彼らの前に、ひとりの老人が現れる。テッド・ブローティガン。不思議な能力を持つ彼の出現を境に、世界は徐々に変容し始める。貼り紙、路上のチョーク、黄色いコートの男たち。少年と少女を、母を、街を、悪意が覆っていき-。あまりにも不意に、あまりにもあっけなく過ぎ去ってしまう少年の夏を描いた、すべての予兆をはらむ美しき開幕。
新聞記者ポール・アブラーは、ふとした事件からノアという謎の老人の訪問を受け、危機をむかえたこの世界を救うための秘密を学ぶべく、「叡知の学校」に参加する。古代メソポタミア世界での冒険、ニューヨーク地下に広がるトンネルで出会った指導者ジョシュアの教え、そしてついに、神と宇宙と人間をつなぐ「究極の真理」が明かされる。