2002年8月30日発売
葬送(第1部)葬送(第1部)
永遠の故郷喪失者ショパンが目前に迫る死を振り払い、鍵盤の上に奇跡を呼ぶ。“絵画の虐殺者”ドラクロワが恐るべき魂の闇と対峙し、至高の色彩に挑む。小説家サンドがショパンへの愛を超え、革命の夢を追う。激動する十九世紀パリを舞台に、芸術家達の群像を遍く描き尽くす空前絶後の超大作。
トム・ゴードンに恋した少女トム・ゴードンに恋した少女
世界には歯があり、油断していると噛みつかれるー。ボストン・レッドソックスのリリーフ・ピッチャー、トム・ゴードンに憧れる、少女トリシアは、9歳でそのことを学んだ。両親は離婚したばかりで、母と兄との3人暮らしだけれど、いがみ合ってばかりいる二人には、正直いって、うんざり。ある6月の朝、アパラチア自然遊歩道へと家族ピクニックに連れ出されるが、母と兄の毎度毎度の口論に辟易としていたトリシアは、尿意をもよおしてコースをはずれ、みんなとはぐれてしまう。広大な原野のなかに一人とり残された彼女を、薮蚊の猛攻、乏しくなる食料、夜の冷気、下痢、発熱といった災難が襲う。憧れのトム・ゴードンとの空想での会話だけを心の支えにして、知恵と気力をふりしぼって、原野からの脱出を試みようとするが…。9日間にわたる少女の決死の冒険を圧倒的なリアリティで描き、家族のあり方まで問う、少女サバイバル小説の名編。
触身仏触身仏
異端にして孤高の民俗学者・蓮丈那智の元に「『特殊な形状の神』を調査して欲しい」との手紙が届いた。神とは「即身仏」のことらしい。類例のない情報に興味を示し、現地に赴いた那智と助手の三国だが、村での調査を終えたのち、手紙の差し出し人が謎の失踪を遂げてしまう-(表題作)。日本人の根底にある原風景を掘り起こす「本格民俗学ミステリ」。待望の第二弾。
PREV1NEXT