2003年10月15日発売
独ソ開戦以降、混迷の度合いを深める第二次大戦下のヨーロッパ。フランコ政権下のスペインは、枢軸側と連合国側の間を揺れ動く。焦点は連合国の北アフリカ上陸作戦。時期は、そして場所は?裏の裏、そのまた裏をかくスパイたちの死闘は白熱する!日米開戦。敵同士となった北都昭平とヴァジニアの前に一人の日系女性が現れる。幻惑される北都。嫉妬に狂うヴァジニア。二人の絶望的な愛のゆくえは。著者渾身のライフワーク巨編第三弾。
志賀島の「漢委奴国王」の金印。福岡藩の学者亀井南冥は、明らかに異例な第二の藩校を金印発見と同じ月に開校する。発見に関わった人達が全て南冥と繋がりのある不思議。発見日の記載がない鑑定書。国宝金印は本物なのか?歴史をつくり出す者、謎を解き明かす者。手に汗握る第一級歴史エンターテインメント。
衝撃だった。ここまで悲惨な状況だとは思ってもみなかった。それでもなお、この国は“地上の楽園”なのか。建設コンサルタント業の二宮と暴力団幹部・桑原の「疫病神コンビ」が、詐欺師を追って潜入した国・北朝鮮で目にしたものは、まるで想像を絶する世界だったー。読み出したら止まらないサスペンス超大作。
ガラスの柩を思わせる巨大な温室の中で惨殺された病院長一家。その血塗られた密室に置かれたチェストで、天使のようにまどろむ七歳の少年。ただ一人生き残った彼は、しかし言葉を失っていた。闇に閉ざされた魂を救うため、最大の謎「薬師寺家事件」に挑む桜井京介。建築探偵シリーズ第一部の掉尾を飾る傑作。
「…最初がメールだったから仕方ないのかもしれないけど、なんかずっと、お互い相手を探ってるっていうか…。信じようとは思うのに、それがなかなかできないっていうか…」亮介の声を聞きながら、美緒は窓辺に近寄った。「ほんと、なんでだろうね?」東京湾岸を舞台にきらめく、寄せては返す強く儚い想い。芥川賞、山本賞受賞作家が紡ぐ、胸に迫るラブストーリー。
はるばるネブラスカからマンハッタンのウルフの住居を訪ねてきた老資産家の依頼は、十一年前に勘当した息子を探してほしいというものだった。ウルフは助手のアーチーに命じ、さっそく新聞に情報提供を呼びかける広告を打つ。ところが応じてきたのは、警察や新聞記者、弁護士といった連中ばかり。どうやら、いま話題となっている殺人事件の公判の被告が、くだんの息子と同じ頭文字らしい。公判へ駆けつけたアーチーは、その被告こそが問題の息子だと確信する。だが、事件の裏はなかなかに複雑なようで…絶大なる人気を誇る美食家探偵の名推理。
甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家などさまざまな職業の人々がミス・マープルの家に集っていた。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという“火曜クラブ”ができたが…静かな目立たない田舎の老婦人ミス・マープルが初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。
一月の寒い夜、サンディエゴ市の実力者ピート・ブラガが撲殺された。敏腕のトム・マクマイケル部長刑事が捜査の担当になるが、これは彼にとって皮肉なめぐり合わせだった。ブラガ家とマクマイケル家の間には三世代におよぶ確執があったのだ。1952年、トムの祖父が仕事上の争いがもとでピートに射殺された。それは正当防衛として認められたが、翌年ピートの長男が何者かに襲われる事件が起きた。それ以来、彼の知能は10歳のままになっている。犯人はいまだに確定していないが、それはトムの父親のしわざだと思われている。そしてトムも、ピートの孫娘のパトリシアと10代のころ恋に落ちたが、両家の確執に阻まれて、その恋は終わりを告げていた。トムは、ピートの身のまわりの世話をしていた看護婦のサリー、新空港の建設や港の土地をめぐってピートと対立していた人々、遺産相続に絡む遺族たちなどを調べていく。だが、彼は容疑者のサリーと愛し合うようになり、思わぬ危機を招いてしまうことに…。『サイレント・ジョー』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した著者が、奥深い謎と感動の人間ドラマを描く最新傑作。