2004年4月20日発売
長坂秀佳『「密室」作ります』-“喪服婦人”からメールで届いたキイワード。「密室」でそのキイワードどおりの事件が…。真保裕一『黒部の羆』-冬型の気圧配置が強まっていた。山の事故。25年前の馬鹿な男の姿が胸をよぎった。川田弥一郎『ライフ・サポート』-末期癌患者の最後の願いは「娘探し」。同行したプライベイト・ドクターは命を救えるのか?新野剛志『家路』-師走の街で通り魔に刺された男は、被害者でなく加害者だったのか。高野和明『二つの銃口』-迷い込んだ大量殺戮者と、巻き込まれた青年。極限の恐怖と、精神の深淵を描く緊迫スリラー。
川端隼人12歳、小学六年生。この夏、ママを亡くした。弟がいる。直也6歳。小学一年生。直也はまだママが「死んだ」ということがわかっていない。消防士のパパは夜勤が多い。だから、ぼくが直也の面倒を見なければならない。ぼくには泣いてる暇はない。園田栄造70歳、靴職人。魂を込めて靴を造る。そのために不要なものはすべて排除する。気安く近づいてくるやつらが大嫌いだ。用事もないのに話しかけてくんな。ガキは特に嫌いだ。わがままで、未熟なくせに姑息で、甘えてみせもする芸達者だ。じんわりと気持ちがほぐれる泣けないガキと偏屈ジジイの物語。
北海道に単身赴任した検事・霞夕子。凶悪事件の少ない落ち着いた日々だったが、事件発生の急報が入った。現場で捜査に加わる夕子の勘が捉えた、かすかな違和感、些細な事実。「いったい、どういうことなのかしら…」。夫と妻、父と娘、姉と弟-北の断崖に渦巻く人間関係のあや。人生の危うさ、心の弱さを見つめてきた著者による出色の短編集。
他愛ない内容ばかりだった。特に近づいてこようとしない相手との、安心な、心地よいメールのやりとり。今、そこから踏み出したら、その先には何が待っているの?限りない成熟?それとも不安?もしかしたら…自由?放埒と純情が乱舞する情愛小説の頂点。
史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。
結婚式を目前に控え、意識不明に陥った中野綾。ささやかな復讐心から、綾に呪いをかけてしまった先輩OL・立川美紀子は、綾が“眠り”に落ちてから、不眠症になった。眠れない女と眠り続ける女。目覚めに必要なのは王子様なのか?婚約者の声にも無反応だった綾が目覚めたとき、口をついた言葉は…。おとぎ話をモチーフに、女性の深層心理を描くサスペンス。
父を破産させ、家族を破滅に追いやった「宝石を食べる、この世で一番美しい不老不死の化け物」カズナ。時が経ち、一流企業のトップに成り上がった鷹倉は、復讐のためにカズナを探し始める。しかし、ついに姿を現したカズナは…意外にもボロボロの格好の貧しい青年だった!カズナを屋敷に引き取った鷹倉は苛立ちから、むりやり彼を抱くが、隠されたカズナの「真実」を知るたび、次第にカズナに惹かれていき…!?長編書き下ろし。