2004年6月10日発売
ネット掲示板「メビウスゼロ」に書き込みをする“チェルシー”と名乗る少女。その掲示板では、集団自殺旅行『フェアウェル・ツアー』が計画されていた。気怠い毎日に感じるぼんやりとした苛立ち。そして、そこからの逃亡。チェルシー、ポッキー、プリッツ、ハイジの4人は、富士の樹海を目指す。死へと向かっていく少女たち、スリリングな旅の果てにたどり着く場所は-。
「21世紀の007」とフランスで賞賛された新しいエンターテインメントシリーズの第2弾。今回主人公セス・コルトンが挑むのは、地球規模の異常気象を起こす環境テロリスト。彼らは南極に近い南太平洋の、深海9000メートルの海底に基地を建設し、グリーンランド海流を操って地球の気象を意のままに操ろうとしていた。グリーンランド海流は、極地の深海に沈み込んだ海水が2000年の時を経て南極の海水と合流し太平洋の真ん中に浮上してくる。この流れをほんの少し変えるだけで地球は氷河期に入り、人類の大半は死亡するのだ。物語は、南太平洋でアメリカの原子力潜水艦が遭難するところから始まる。この事故は人為的なものであると、「委員会」が原因究明をセス・コルトンに求めてきた。「委員会」とは表向きはふつうの実業家や科学者4人とセス・コルトンがメンバーとなって、これまでに何度も世界を救ってきた組織である。地球を壊滅させようと策謀するのは、いったいだれか-?ジャーナリストとして数々のベストセラーを生んだ著者が、現代の最先端科学の情報を駆使して、驚異の物語を展開する。
秘剣、外に語らずー剣客小説に新境地を開いた名品集“隠し剣”シリーズ八篇。凶々しいばかりに研ぎ澄まされた剣技を秘める主人公たちは、また人としての弱さもあわせ持つ。剣鬼と化し破牢した夫のため捨て身の行動に出る人妻、これに翻弄される男を描く「隠し剣鬼ノ爪」。他に「暗殺剣虎ノ眼」などを収む。
この作家のロングセラー“隠し剣”シリーズ第二弾。気難しい読者をこれほど愉しませた時代小説は稀れである。剣の遣い手はさらに多彩に。薄禄の呑んだくれ藩士のくぐもった悲哀を描く「酒乱剣石割り」、醜男にもそれなりの女難ありと語る「女難剣雷切り」など、粋な筆致の中に深い余韻を残す名品九篇を収載。剣客小説の金字塔。
仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、追われるように去った信州の故郷を35年ぶりに訪れる。高瀬の妻の美保子は昔、淳蔵が恋焦がれた相手だが、年月が彼女を変貌させていた。佳世と出会った淳蔵は年齢差を超えて惹かれるが、過去の事実が二人の恋情をより秘密めいたものにしていくのだった。直木賞受賞作。
「聖水」は本当に奇蹟の水なのか。佐我里さんは教祖か、詐欺師か?死を目前に衰弱しながらも、聖水の効用を信じ続ける父と、佐我里さんの商法に反発を覚える息子。スーパーの経営権を巡る騒動と、新興宗教の様相をおびる聖水信仰。死にゆく者にとっての救済とは何かを問う芥川賞受賞作を始め、4篇を収録。
渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。少年たちと強奪犯との息詰まる攻防を描いた傑作ミステリー。