2004年発売
「およそ文学における最高傑作の一つと言っても過言ではない」とボルヘスに激賞され、オースターが『幽霊たち』を書く際に依拠したとされるホーソーン著『ウェイクフィールド』。ストーリーも時代設定も同じながら、新たな光をあてラテンアメリカ、欧米諸国で絶賛されたベルティ著『ウェイクフィールドの妻』。不可解な心理と存在の不確かさに迫る文豪と鬼才のマスターピース二篇。
いつか、出逢った二人。どこかで再び会えるなんて-。男の事業は崩壊に瀕していた。女は夫との距離を感じはじめていた。そして、運命は31年ぶりの再会へと二人を誘った。純真と激情が結びつき、感情と官能が交錯する恋愛長篇。
追い詰められた北朝鮮が日本のテレビ局に前代未聞のオファーを出す。収容所、拉致被害者等を含めた完全自由取材。さらに金正日の独占インタビュー。開放か、罠か?共和国「最後の真実」が解き明かされる超一級のスーパーフィクション。
昼休み、同僚がいなくなったオフィスで、彼とふたりだけの秘密の“ミーティング”…ネコのふりをして甘える彼女を、どうやってかわいがってあげようか…恋人のアパートで愛を交わしていると、かならずふたりを見ている何者かの目…突然停電になった満員電車の暗闇で、いったいなにが起きるか?-日々の暮らしのあい間に、突然わきあがる官能的な衝動。その瞬間を、現代最先端のエロティカ作家たちが描く、とっておきのショートストーリー全35編。5分間で、あなたを夢の世界へ誘います。
アイルランドの海岸通りにたたずむ小さな店で、アリーナは「世界に一つしかない」と勧められ、古いペンダントを買った。だがその間に彼女は助手を務めるツアーの船に置いていかれてしまう。嵐の中、ボートを雇って追いかけた彼女は見知らぬ島にたどり着く。島にある古代遺跡で行き倒れたアリーナは、貴族的な風貌の男性コナルに助けられたが…。アリーナとコナルは、二人の出会いを予言するような伝説に激しく動揺する。われらがノーラが、愛の神秘を描く「リトルマジック」シリーズ第一弾。
チェ・ダミ、25歳。名門ハーバード大学を卒業したばかり、 何をしでかすやら予測不能なこの秀才美女に、 日本一の大企業NAKATAグループの御曹司ナカタ・ヒロが急接近! 前途多難な二人の恋の行方は…!!!??? [韓国のティーンを虜にした波瀾万丈ラブコメ★全3巻で続々登場!]
三軒のクラブを経営する若手実業家、桐原の店にある晩、一人の男が現れた。日本人離れした風貌、そしてふてぶてしい態度のその男ー久瀬は、アメリカから帰国したばかりの新進気鋭の写真家であり、6年前、桐原の躰を好き放題に拓いた挙げ句、ふいと姿を消した高校時代からの親友であり…元恋人。久瀬は強引に桐原のマンションに居候を始め、ヨリを戻そうと迫るのだが…。デンジャラス・アフェア書き下ろし。
建築デザイナーの卵、杳が「同居人募集」のサイトで見つけた『運命の相手』-遼一。本名を隠し、眼鏡をコンタクトに変え、別人になりすましてまで遼一のルームメイトになりたかった杳には、“ある目的”があった…。だが、ひどく無愛想なその男は、取っ替え引っ替え女の子を部屋に連れ込むケダモノのようなヤツ!?…その上、男とまでコトに及んでいるのを目撃し、杳は…。フェイクなラブシェア書き下ろし。
娘のアニーは二十歳にもならぬうちに駆け落ちし、わたしは止めることができなかった。男手ひとつで大切に育ててきたというのに、コールのような中身のない男のために一生を捨てるなんて。心配のあまり、わたしは病的なまでに娘の後を追い、逆に娘の激しい反感を買ってしまう。だが四年後、アニーは幼子を連れて戻ってきた。父娘の間のわだかまりは完全に消えたわけではなかったが、この四年間、わたしは娘と孫のリンダの保護者として精一杯やってきた。アニーが再婚しようとしているいま、わたしの心は複雑だ。相手のルイスは心やさしい男やもめで、娘よりわたしに年齢が近いくらいなのだ。そこへ、アニーの再婚話を聞きつけたコールが、自分の娘を奪い返そうと怒りに燃えて、突然姿を現わした…。壊れかけた人間関係を修復しようとする男たちが切ないセンチメンタル・ストーリー。
その男は警備の手薄な私立学校に押し入り、銃を乱射した。血は流れ、血は飛び散り、血は鮮やかに周囲を染めた。無残な骸と化した少年たちを前に、男は自らのこめかみを撃ちぬき自殺した。犯人の名はリー・ハードマン。かつて英国陸軍の特殊部隊に所属していた有能な男で、重大な犯罪歴も特になかった。スコットランドはエジンバラの刑事リーバスは、自身も特殊部隊にいた経歴をもっていたため、捜査に駆りだされる。しかし、強引な捜査ばかりを行ない、署内で疎まれる一匹狼のリーバスを、上層部は辞職に追い込もうと画策していた。リーバスは、リーを調べ続け、謎のゴス・ファッションの少女や精神病院に送られた殺人者といった奇妙な人物たちの存在を突き止める。さらに英国陸軍の調査官がリーバスの捜査を妨害し、事態は混迷を深め…。
近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウ・アレンデイルは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。それでも、ルウの生活は順調だった。触感やにおいや光に敏感すぎたり、ひとの表情が読みとれなかったり、苦労は絶えなかったけれど、自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しんでいた。だが、新任の上司クレンショウが、新しい自閉症治療の実験台になれと自閉症の社員たちに言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。ルウの決断のときは迫っていた…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描き、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、2004年ネビュラ賞を受賞した感動の長篇。
開国で揺れる幕末の江戸。御家人悪を自称する青木弥太郎。用心棒に凄腕の攘夷浪人・魁銀次郎を得て、御用盗にも弾みがつく。ひるまぬ豪気と巧みな弁舌を駆使し、異国との交易で富を肥やす商人から軍資金を巻き上げる!胸がすく長篇痛快悪漢チャンバラ小説。
イラクでまたも日本人人質事件が発生、四人の人質にPTSDの疑いが濃厚との情報を察知した日本政府は、交渉役の外務省職員に臨床心理士を同行させる。岬美由紀、二十八歳。彼女がこの重大な任務に選出された理由はカウンセラーとしての実績ではなく、その過去にあった…。女性自衛官初の戦闘機パイロット、岬美由紀が臨床心理士に転向した真の理由とは。そして、人類の歴史の長きに渡って戦争の狂気が持続する、その心理の根源はどこにあるのか。究極の平和を目指し、孤立状態に陥りながらも奮闘する美由紀の波乱万丈の冒険と、驚愕の集団心理分析の類稀なる能力を描く、冒険ミステリー最新傑作。
最初は夢だと思った。いつも隣りにいた大好きなあなたと結婚し、ふたりの間には佑司というかわいい男の子が生まれた。二十九歳のわたしは、あなたと佑司とともに幸せな時を過ごしていた。穏やかで優しい日々を送っていた澪が、やがて知ってしまう哀しい運命ー。それでも、絶対に変わらない思いがあり、絶対に失いたくない人がいる。ずっと一緒にいられないと分かっていても、澪はためらわず愛する人のもとへ走っていった。市川拓司のベストセラー『いま、会いにゆきます』の映画化脚本をもとに、みずみずしい感性で新人が書き下ろした、もう一つの愛の物語。
日本の銀行マンと結婚したフィリピン女性が、転勤で九州から新潟へ移った途端に経験した、雪国という未知の空間。ふさいだ気分が周囲への憎悪に変わる様子を描いた表題作「悪魔の羽根」。早春、恋愛中の女性が突然、姿を消した謎に季節特有の悩みを絡めた「はなの便り」など、四季の風景を織りまぜながら、男女の心模様、友人同士の心のズレを浮き彫りにする。ちょっぴり恐い7つの物語。