2005年11月25日発売
大手都市銀行に勤務する夫のヨーロッパ赴任に伴って、現地で料理を学んだユリ子は、帰国後、美貌の料理研究家として一躍マスコミの脚光を浴びるようになっていた。母のアシスタントを務める長女と、有名進学校に通う高校生の長男をもち、母の美味しい手料理に舌鼓をうちながら会話をはずませていたこの家族に、やがて暗い「影」が忍び寄る。ユリ子と雑誌編集長の不倫、夫が遭遇した金融危機の荒波、長男に手を伸ばすある組織…。家族四人がそれぞれに口にはできない“秘密”を抱えていたのだ。家族の崩壊と再生の困難さを、衝撃のストーリーで描いた傑作長編小説。
親友との喧嘩や不良グループとの確執。中学二年のさくらの毎日は憂鬱。ある日人類を救う宇宙船を開発中の不思議な男性、智さんと出会い事件に巻き込まれる。揺れる少女の想いを描く、直球青春ストーリー!
奔放に愛を求め、恋人を失ってしまった心の傷を秘めたまま、つましく暮らしている女、28歳。老紳士は、自分に残された時間に焦燥を抱え、その人妻の美しさに身を焦がす想いをしている自分に気づく。恋は、生きていることの証。愛は、限りある生の礎ー。1932年にノーベル文学賞を受賞したゴールズワージーによる傑作恋愛小説。20世紀初期のイギリスを舞台にした愛の筆致がいま、新訳で甦る。
奥州糠部の地でのびのびと育った馬の巧みな十六歳の少女相馬由衣は、従弟の八郎丸が元服するのに付き添い、平泉に赴く。しかし平泉は衣川館で義経が誅殺されたという報に震撼していた。由衣らが人目を避けて飛び帰った村も、義経を襲った藤原泰衡勢に焼き討ちにあい、身内は無惨にも息絶えていた。この混乱の中で由衣は伯父から八郎丸が義経の落胤である事実を聞かされるが、頼朝の奥州征討軍に平泉は炎上、頼朝の軍勢に抵抗した由衣は運命の大渦に翻弄されていく。
放浪の戦士と異世界の少女の出逢いーすべてはここから始まった。盟約という固い絆で結ばれた二人は、いくたの危地を乗り越え、あまたの戦に勝ち抜いて、戦士は大国の王に、少女は王と国の守護神となった。獅子王と妃将軍が紡ぐデルフィニアの伝説が、ここに完結する。
新宿副都心に開設された「EDS 緊急推理解決院」。警察では対応しきれない難事件や不可解な謎を、市井の名探偵の知力と名推理によって、早期に解決しようという施設だ。専門分野ごとの探偵師と助師が披露する鮮やかな推理!画期的合作長編、遂に完成。
あなたの隣にいませんか?一人で妄想するひと、突然怒るひと、イヤなときに必ずいるひと、死んでいるのに自覚がないひと…不思議で奇妙で怖い人たち。いつどこで出逢うかわからないー逢いたくないけどもう逢ってしまっているかもしれない「あのひと」と「あなた」のストーリー八編を収録。
母・雪江の発案で三河への旅に出かけた名探偵・浅見光彦。旅先の「殉国七士の墓」で出会い、ふたりに説教までした愛国老人が、翌日吉良町の海岸で死体となって発見された。全身には高い崖から転落したと思われる激しい打撲の跡があった。しかし、現場にはそのような断崖はない。となると、まるで「名も知らぬ遠き島より…」と島崎藤村の詩にも歌われた椰子の実のように、死体は別の場所から流れ着いたのだろうか。一体犯行現場はどこなのか!?一度は警察に疑いをかけられた浅見光彦が、美しい海岸に仕掛けられた完全犯罪と、その背後に隠された悪意に迫る、傑作長編旅情ミステリー。
昭和40年代、高度成長期日本。3種の神器と謳われた欲望の象徴・自動車をめぐって、各メーカーは熾烈な争いを繰り広げる。ライバル会社を欺き、出し抜き、機密を盗み出す“産業スパイ”の世界をあますところなく活写、1962年に発表されるや一躍ベストセラーとなり、「企業小説」という新ジャンルを開拓した傑作。同年、田宮二郎主演で映画化されている。