2005年4月30日発売
広瀬川流れる杜の都・仙台。この町に生まれ、上京して、現代で最も真摯に「私小説」を追求する作家となった著者が、故郷に戻り、みちのくの山や川を訪ねる。面白山、秋保、定義、琵琶首…川づたいの土地に息づく人々の営みを、成熟した眼と卓抜な文章で描く、連作形式による長編小説。
孫娘のけい子ちゃんがお祭りに行くのに、買ったゆかたが大きくて着られない。妻が寸法を直すことになったが、お祭りは今日の夕方はじまる。さて、寸法なおしは、間に合うだろうか?-夫婦二人の穏やかな日々を、祈りと感謝をこめて描く連作第十作目。
ルックスだけはいい奴らが集まる峯尾学園芸能科。一方のパンジン科(普通科)で女にもてずサイテーの日々を送る二人の男子が、街で誘われた怪しげなパーティー。寒風吹きすさぶ土曜の夜の六本木、17歳の高校生たちがそこに結集した時、運命が動いた…。
百年前、まだ純情だった頃のアメリカ。野球選手の夢破れたベン・フェルプスは、帰郷する夜汽車の中で、ひとりの美しい娘と出会った。その名はロッティー。一年後、再会した彼女は、なんと移動遊園地の一座にいた。そこで起こった不可解な死。ベンが抱えた秘密。三度目の出会いは、彼らの運命を揺り動かした。ケンタッキーからジョージアへ、ベンはロッティーの魂の故郷を探す旅に出た。ロッティー、あなたは哀しいほど、綺麗だった。その美しき魂が、人々の運命を変えてゆく。『白い犬とワルツを』を超えた深き愛の物語。
うっかり携帯電話を飲み込んだ男。オフィスを丸ごと食べてしまうOL。退屈しのぎにあなたに変わってみる私…。「新潮ケータイ文庫」書下ろし特別作品白昼夢みたいにブラックな78の超短篇。
付近の惑星に周期的に災厄を撒き散らす謎の星、“禍つ星”。そこに赴けば、誰もが巨万の富と絶対的な力を手にできるという。その秘密を追う学者に雇われた宇宙商人ハヴィランド・タフは、サイバー技術者、用心棒ら、いずれ劣らぬ曲者の五人と現地へ向かう。だが、彼らを待ちうけていたのは、超巨大宇宙船“方舟”号からの思いもよらぬ攻撃だった!表題作ほか、宇宙一あこぎな商人タフの冒険を描く連作集、待望の第一弾。
仇敵チャンダーと対峙したガリオンは「燃えろ!」の言葉とともにその恐るべき力を目覚めさせた。しかしそれは、制御できなければみずからをも滅ぼしかねない危険な力であった…。心の内に住まう声が明かす、重大な使命にとまどうガリオン。一方「珠」をめぐる一行の旅は、亡霊の国マラゴー、魔術師ベルガラスの育った「谷」、洞窟の民ウルゴの聖地プロルグを経て、ついに邪神トラクの高僧が待つクトル・マーゴスに至る。