2005年6月10日発売
江戸市中では押込みが続発していた。そんな折、三味線流しおきんの結び文が『かわせみ』へ届けられ、解決の糸口となる。表題作他、大名家の姫君の江戸見物を描いた名品「岸和田の姫」など七篇を収録。大川端の旅篭『かわせみ』の女主人るいと恋人の東吾、八丁堀同心・畝源三郎の名トリオがおくる人情捕物帳シリーズ、新装版第十二弾。
ミステリー界の大御所が、秩父の山荘で、十年ぶりの新作執筆に取りかかる。タイトルは『螺旋館の殺人』、本格推理ものだ。ある日、作家志望の若い女性が自らの作品を手に訪ねて来る。その後の原稿紛失、盗作疑惑…奇妙な事件の果てに待つものは?折原ミステリーの原点、精緻な多重トリックが冴える長篇。
ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。だが、心の空洞は埋まらない。そんな彼女のもとに、大伯父の幽霊が現れ、有子は、70年前、彼が上海で書き残した日記をひもとく。玉蘭の香りが現在と過去を結び、有子の何かが壊れ、何かが生れてくる…。
-おら、負けねえ。絶対いっぱしの男になってやる。ムクムクとわき起こる闘志のせいか、慣れない長旅のせいか、有二の額に汗が吹き出す。それを腕でグイッと拭うと、有二は眦を決して人波に飛び込んでいった。栃木の糞ガキ鈴木有二が、世界チャンピオン、ガッツ石松への一歩を踏み出す、まさしくその瞬間だった。貧しくひもじかった少年時代、無我夢中で突っ走った青春時代-いつも熱く一途に生きる男・ガッツ石松の半生を、いきいきと描き出した初の自伝小説。
美しい港町アデンを舞台に、恋も財も失った令嬢がある大金持ちの奇人の助力を得て、不幸のどん底から立ち直ろうと健気な大勝負に出る「銀山王」。生まれは貴なるも無銭無家の快男児・団金東次が如意棒片手に世界へ船出する、痛快活劇「世界武者修行」。世に聞こえたアラビアの航海王・乗船伯爵が問わず語りに語る摩訶不思議な冒険譚「魔島の奇跡」。血気盛んな明治の青少年から絶大なる支持を受けた冒険小説の祖による幻の傑作3編を収録。