2005年7月発売
おれは売れない作家ーアルバイトで糊口を凌ぐ毎日や、妻との冷え切った関係にはいいかげんうんざりだった。担当編集者の伏見裕子ーおれがひそかに想いを寄せる人妻。意外なことに向こうからも誘いをかけてきた。彼女の夫が死ねば、彼女はおれだけのものになる。運命の女の言葉は、おれの耳にはこう聞こえた…“夫を殺せ”。欲望と犯罪に溺れる男女を、鬼才がリビドーを注ぎ込んで描いた純愛小説。
西暦2032年。未曽有の地殻変動によって、南西諸島に沈没の危機が迫っていた。地球科学者・大森拓哉の警告により政府特別機関が設立されるが、その目的は領海=海底資源喪失を見越しての既得権確保にあった。政府の対応に憤る植物生態学者・南方洋司、地質学者・菅原秀明ら6人の科学者は、独自の「ISEIC理論」によって地殻変動を食い止めるべく、極秘プロジェクトを開始する。いっぽう共感覚をもつ青年・伊波岳志は、南方らに同行して訪れた与那国島で、巫女的存在であるムヌチの後間柚と出会う。「琉球の根を掘り起こせ」なる神の声を聞いたという彼女は、大地の怒りを鎮めるため、“14番目の御嶽”を探してくれるよう岳志に依頼するのだが…日本SF史上最高の科学小説、ついに刊行。
与那国島の伊波岳志は、海中の遺跡ポイントが“14番目の御獄”であることを突き止めた。時を同じくして、水深6000メートルの南西諸島海溝では、深海調査船“しんかいFD”のパイロット・武田洋平が巨大な人工構造物を発見していた。その符合を検証する南方洋司ら科学者の目的は、地殻変動を食い止める唯一の鍵“SEIC(圏間基層情報雲)理論”の実践にあった。しかし、事態はすでに切迫していた。遺跡ポイントへの祈りを通して地中世界を垣間見た後間柚は、「大地の炎が琉球を焼き尽くす」という神の予言を聞く。いっぽう、海底資源を狙う中国の干渉が激化するなか、ついに海底火山が噴火、破滅へのカウントダウンが開始される…構想5年、執筆3年、2000枚の超大作、堂々完結。