2005年7月発売
アニミズム的な妖精譚の「ちんちん小袴」、永遠の愛を語る「帰ってきた死者」、オノマトペを凝らした「幽霊滝の伝説」、ハーンの心理的外傷の表象ともいえる「むじな」……。ユーモラスで哀切に満ちた小話から恐ろしい怪談まで、傑作42編を叙情あふれる新訳で紹介。江戸時代の狂歌をハーンが解説した貴重なエッセイ「妖怪のうた」も直筆の挿絵とともに収載する。朗読や読み聞かせにも最適、ハーンの再話文学世界を味わう決定版。 第一章 「怪談」への旅 小豆磨ぎ橋 水飴を買う女 子捨ての話 鳥取の布団の話 帰ってきた死者 幽霊滝の伝説 菊花の契り 第二章 おとぎ国の妖精 若がえりの泉 ちんちん小袴 団子をなくしたおばあさん 猫を描いた少年 化け蜘蛛 第三章 転生譚 お貞の話 十六桜 乳母桜 蠅の話 雉子の話 お亀の話 力ばか 梅津忠兵衛の話 勝五郎の転生記 鏡と鐘 僧興義の話 安芸之介の夢 第四章 妖怪と悪霊のたくらみ むじな 茶わんの中 常識 生霊 死霊 ろくろ首 果心居士の話 耳無し芳一 第五章 女と男の恐い話 おしどり 雪女 青柳ものがたり 和解 因果話 破られた約束 振り袖伝説 衝立ての娘 鏡の乙女 忠五郎の話 第六章 妖怪のうた 一 狐火 二 離魂病 三 大蝦蟇 四 蜃気楼 五 ろくろ首 六 雪女 七 船幽霊 八 平家蟹 九 家鳴り 十 逆さ柱 十一 化け地蔵 十二 海坊主 十三 札へがし 十四 古椿 資料 ラフカディオ・ハーン略年譜 あとがき──ハーンの怪談ハンティングの旅
裏切り、嫉妬、権力への欲望。男は、粛清の名のもとに血を流し、女は、愛のために決断をする……各紙誌で絶賛され、第5回大藪春彦賞を受賞した、打海文三が真価を発揮した最高傑作!
イランで巨大融資案件がもちあがった。融資団主幹事を狙う大手邦銀ロンドン支店の今西の前に、米系投資銀行の龍花が立ちはだかる。弱肉強食の国際金融ビジネスを描ききった衝撃のデビュー作。
韓国を代表する詩人、アン・ドヒョン 日常のなにげない風景から、人と世界をみつめたエッセー集 「文を読んで書くこと、それはこの世と恋愛することではないか」とアン・ドヒョンさんはいう。しかも「心だけでの恋愛、手先だけでの恋愛を私は警戒する」と。 詩人の目で捉えた世界が、日常が、ゆったりと静かな風景の中を過ぎる。「尹東柱と福岡」「淋しがろう」「冬の希望」「私と靴の関係」「悲しい詩」など、詩人のやさしさが読む人の心を温かく包む。 詩人の心が大切にされ、多くの読者を確保し続けている韓国の文学的風土の豊かさが伝わり、透明でさわやかな風が吹き過ぎていく。これを読んだ人はきっと韓国に行ってみたくなり、詩人と同じ情景に浸ってみたいと思うに違いない。 氷蝉 尹東柱と福岡 日本を見る目 人が人に出会う夢 母親と妻の違い 淋しがろう 暖かいバス 不便な関係 ラーメン礼讃 凧のように 金剛山の旅 美食家の理由 寸志と寸書 新春文芸 文芸創作学科 冬の希望 人生とはなにか 朝顔の会 海を前にして 報春花 詩の国 私と靴の関係 詩集も商品だ 詩人と酒 民衆版画家 お金と詩人 虎が再び… 大人のための童話 赤いTシャツ 神の息子、将軍の息子 小犬の糞 悲しい詩 幼い息子に 本家の奥座敷 民衆と人民 インターネット時代 飴売り 詩集「農舞」 ある小説家 私の作業室 淡水魚を飼う 反米感情 地域感情 俳句と時調 夕べの祈り 詩人の白石 ある農民の頑固さ 詩人と戦士 無題 良いものは近くに 共に生きる あとがき 時代と向き合う酔いどれ詩人
太平洋戦争末期の激戦に散った一人の騎兵将校、開戦に反対の立場を貫きながらも、東京裁判でA級戦犯として絞首刑を宣告された元総理・外相の広田弘毅……城山文学の到達点を示す戦争文学全集、全6巻。
時と運の潮目を読み切ってのし上がる平正盛、商機と人事にさとい長男・忠盛。下層の身ながら、おのが才覚を存分に発揮した楫帥・水竜。謎の美姫・祇園女御と京の市を熟知する女・真砂…。“海の道”への遙かな想いが、都ー瀬戸内ー宋国を結ぶ!国際情報小説の女王が、史実を自在に読み解いて描く本格歴史小説。
かの国は船の好材を産し、海の道を見渡せる伊都岐嶋(厳島)がある。清盛はあえて小国・安芸国に眼をつけたー“開国”の大断行をする智臣・信西入道、立ちふさがる凡庸な輩、保元・平治の乱、鹿ヶ谷の陰謀を乗り切った清盛だったが、すでに海の道は崩れ始めていた…。「諸行無常」のイメージから平家を解き放つ、新・歴史経済小説。
生きて戻れーリィの言葉に送られて、ファロット一族との血塗られた関係を清算すべく、シェラは北を目指す。一方、別行動を取ったリィは、タンガが仕掛けた罠により、騎士団員千人の命と交換に虜囚となった。意識を奪われた戦女神に必殺の針を手にしたレティシアが迫るー。
西洋館を舞台に次々と起こる惨劇…巨大「牢獄」から生きて脱出できるのか?本州最南端の半島沖の小島に建つ、巨大な西洋館。所有者の莫大な財産の後継者を選ぶべく、五組十人の男女が集められたー後継者決定の条件は、巨大ダイヤを館から発見すること。期限は十日。外部との接触を絶たれた極限状態のなか、謎に満ちた宝探しが始まる。二日目の朝、浴室に参加者の一人が吊るされていた。退路のない館内での殺人に震撼する面々。犯人の影も見えぬまま、その翌朝にまたしても、首を切断された死体が発見される…。
消えた肖像画、失踪した令嬢、石像の右腕だけが後に残され、遺言書を入れた風変わりな箱は持ち去られたー異能の師匠レオナルド・ダ・ヴィンチが、ミラノの宰相ルドヴィコ・スフォルツァ、才媛チェチリアとともに、不可解な謎、奇妙な事件に挑む。そして三人を待ち受ける運命は!?異才・三雲岳斗が描く、稀代の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチ。
1978年、新興地へ転向してきた高校2年生のキム・ヒョンス(クォン・サンウ)が、転入した男子校には暴力と支配が蔓延していた。強さを誇示する同学年生徒や、大きな影響力を持つ1学年上の3年生、軍事政権国家による体制的な教師たち…。ある学校帰りのバスの中、オリビア・ハッセー似の他校3年生カン・ウンジュ(ハン・ガイン)が、不良生徒たちに絡まれているところを劇的に救ったヒョンスとキム・ウシク(イ・ジョンジン)は、彼女のすべてに一目惚れしてしまう。物静かなヒョンスと大胆なウシク。16歳の2人の青年がウンジュへの恋慕を通じて、心を激しく揺さぶり合い、かけがえのない青春を築きあげる。
大ブレイク中の『ひぐらしのなく頃に』がアンソロジーノベルで初登場!ゲームは、コミカルな登場キャラクターたちと、それに相反する凄惨な連続殺人事件をテーマとするサウンドノベル。アンソロジーノベルでは、正解率1%というゲームシナリオについて、ライター独自の解釈によって仮説・推理したオリジナル短編を掲載。表紙イラストに池上茜、挿絵にあずまゆき、依澄れい、内村かなめ、七海綾音、華原七海など豪華イラストレーターが参加。惨劇の真実に迫ることができるのは、はたしてだれか。
ロマン主義の全盛期、十九世紀パリ社交界に現れたポーランドの音楽家ショパン。その流麗な調べ、その物憂げな佇まいは、瞬く間に彼を寵児とした。高貴な婦人たちの注視の中、女流作家ジョルジュ・サンドが彼を射止める。彼の繊細に過ぎる精神は、ある孤高の画家をその支えとして選んでいた。近代絵画を確立した巨人ドラクロワとショパンの交流を軸に荘厳華麗な芸術の時代を描く雄編。
二つの墓地のあいだを、墓場クリークが流れていた。いい鱒がたくさんいて、夏の日の葬送行列のようにゆるやかに流れていた。-涼やかで苦みのある笑いと、神話めいた深い静けさ。街に、自然に、そして歴史のただなかに、失われた“アメリカの鱒釣り”の姿を探す47の物語。大仰さを一切遠ざけた軽やかなことばで、まったく新しいアメリカ文学を打ちたてたブローティガンの最高傑作。