2005年7月発売
だれかに必要とされること。しあわせは静かにそばにいる。--高校の若き校長になったアンは、海辺の町から、婚約者ギルバートに手紙を綴る。ふたりの未亡人たちの家<風にそよぐヤナギ荘>での楽しい下宿生活。地元の有力一族や年上の女教師の反発など、仕事のほうは前途多難だけれども。愛情豊かな便りを交え語られる、大人の女性への成熟の記録。講談社だけの完訳版『赤毛のアン』シリーズ全10巻の4。
これまで数々の難事件を解決してきた元新聞記者にして地元の名士クィラランと不思議な推理力を持つ飼い猫のココ。彼らの知られざる日常や、事件の裏エピソードを知りたくはありませんか?本書ではクィラランがつけている日記の一部をご紹介し、ココとヤムヤムの秘密や、登場猫紹介、ためになるココの格言など、クィラランの猫たちに対する愛情に迫ります。豪華イラスト入り、全22篇収録のシリーズ番外短篇集をどうぞ。
その朝、新聞を開いたクロゼットの住人は、セント・エリザベスの校長ロスコウの死亡記事に仰天した。昨日は元気だったのに…ところが当の本人はピンピンしていた!不可解な事件は学校の生徒のいたずらと判明するが、その直後にロスコウが急死し、事態はにわかにきな臭くー明敏なるトラ猫ミセス・マーフィの鼻は、これが事件の幕開けにすぎないと嗅ぎわけていた。動物パワー全開の名推理が事件の謎を解明するのか。
恋は不思議なもの。ある時は人生に歓びを与え、ある時は苦難をもたらす…。年老いた大富豪ラファティの依頼は、ごく簡単なものだった。甘やかされて育った一人娘のリーバが、横領の罪で服役していた刑務所から出所するのを迎えに行き、自宅へ送り届けてほしいという。30歳を超えているのに常識に欠けるわがまま娘のお守り役だが、ひどく楽な仕事に思えた。出所したリーバはキンジーには気を許し、なにかと制限の多い仮釈放中の生活で友人づきあいを求めてくる。だが、彼女の元の雇い主ベックがマネーローンダリングに手を染めており、彼と愛人関係にあったリーバがそこに足を突っ込んでいたことが判明し、楽な仕事は吹っ飛んだ。ベックを摘発したいFBIや国税庁の合同チームがリーバの証言を求めて接近してくる。チームに参加しているのが、旧知の市警チーニー警部補だったことから、キンジー自身の身にも予想外の出来事が!カリフォルニアの女探偵が、ひさびさの恋に燃えつつ事件に挑む、人気シリーズ最新作。
突如地球を襲った大災害!途方もない嵐が世界各地で発生、熱帯地方では大雪が降り、津波による死者は数十万人におよんだ。原因は火星から地球へと伸びる力場チューブだった。火星へと飛来した謎の物体が、火星から地球の大気を盗んでいるらしい。この未曾有の危機に、一人の男が立ち上がった。男の名はカーター・リー-世界的に名高い冒険家だ。プロペラ機による両極間無着陸飛行の途上、南極でこの恐ろしい事件に遭遇した彼は、愛機フェニックス号を駆って大竜巻-力場チューブのなかに飛びこむと、一路火星へと向かったが…表題作「火星ノンストップ」をはじめ、パラレル・ワールドの概念を世界で最初に提示した傑作「時の脇道」、待望の野田昌宏訳による「シャンブロウ」、凍てついた大地にアンモニアの吹雪が吹きすさび、空にナトリウムの爆発がひらめく木星を舞台にした「わが名はジョー」など、全7篇を収録。SF作家としてまた「と学会」会長として知られる編者が、センス・オブ・ワンダーに満ちた珠玉の名作を厳選したテーマ別SFアンソロジー決定版。
憧れの少女エレナとデートしたい…。でも、デートの相手に選ばれるには少女の父親のハートを射止める贈り物をしなくてはいけない、という村のしきたりがありました。貧しい漁師の息子・マルチェロは、ある朝、彼女の父親に贈るとっておきの物を思いつきます。でも、それを手に入れるには、ある“取り引き”が必要だったのです。夢にまで見た彼女と交わす、初めての会話。初めてのデートのときめき。ひたむきな恋心だけを武器に恋の成就を目指して走る16歳の少年。イタリアの海辺の小さな村を舞台に繰り広げられるとってもピュアな初恋物語。
「こんなはずじゃなかった」が母の口癖だった。記憶の中の母は、怒ってばかりだった。そして、私が高校三年のときに父と母は別れた。それから母とはもう、八年近く会っていない。なのに、なぜ今になって戻りたいなんてー。逃れることのできない母娘の確執を描く表題作他、会社を辞めて実家に戻った私が高校生の妹と過ごすあてどない時を描く「十八階ビジョン」を収録。
男の人生はかくも甘美で苦い-。「もしふたりが愛し合っていれば、そこにはハッピーエンドなどはない」「小説を書くときに作家は血の通った人間を創り出すのだ。人物ではなく人間を」など、ヘミングウェイが遺した言葉は今も魅力に富む。その数々を「人生」「異国・祖国」「自然」「楽しみ」「執筆」の五章に分けて収め、背景を鮮やかに読み解く。二十世紀を颯爽と駆け抜けた文学者の濃密な生涯がよみがえる一冊。
横浜医科大学の保存室から一体の屍体が消えた。捜索を依頼された神奈川県警捜査一課の二村永爾は、生前の友人関係を調べ始めるが、その数日後、屍体は保存室に戻っていたーー長編ハードボイルド。