2006年12月15日発売
イタリア人実業家の亡夫から相続した、小島の館に隠棲する日本人女性=レニエール夫人。彼女から鑑定の依頼を受けヴェネツィアを訪れた神代教授と京介だったが、跡を追った深春、蒼と合流そうそう島の売却を巡るトラブルに巻き込まれる。そして不可解な殺人事件が!文庫版特典「蒼のヴェネツィア案内」も収録。
妃真加島で再び起きた殺人事件。その後、姿を消した四季を人は様々に噂した。現場に居合わせた西之園萌絵は、不在の四季の存在を、意識せずにはいられなかった…。犀川助教授が読み解いたメッセージに導かれ、二人は今一度、彼女との接触を試みる。四季の知られざる一面を鮮やかに描く、感動の第三弾。
生と死そして時間。 すべてを超越し存在する、四季。 天才の成熟と到達。「四季」4部作、美しき完結編。 「それでも、人は、類型の中に夢を見ることが可能です」四季はそう言った。生も死も、時間という概念をも自らの中で解体し再構築し、新たな価値を与える彼女。超然とありつづけながら、成熟する天才の内面を、ある殺人事件を通して描く。作者の1つの到達点であり新たな作品世界の入口ともなる、4部作完結編。 プロローグ 第1章 白い部屋 第2章 黒い部屋 第3章 赤い部屋 第4章 青い部屋 エピローグ 『四季 冬』を読んで
暗い世相に目を光らせ、闇に潜む悪を捕らえる北町奉行吟味方与力の藤堂逸馬は“梟”の異名で知られていた。同じ寺子屋で学んだ幼なじみの、計算が得意で神経質な八助、根っからの助平だが憎めない信三郎、性格も生活もバラバラの二人とともに、逸馬は世直しに立ち向かう。文庫書下ろし痛快連作時代小説。
快楽の都タイスに入ったグイン一行は、タイス伯爵タイ・ソンの居城にて、伯爵自らの検分を受ける。伯爵はグインの筋肉に触れ、さらにその擬闘を見て、たいそう感嘆する。その夜、グインとスイランは歓楽街ロイチョイに出かけ、タイスが、妖艶に微笑む享楽の顔とその裏で牙を剥く凶悪な闇の顔を併せ持つ都であることを知る。翌朝グインたちは、伯爵から、来たる水神祭りの武闘大会に備え、剣闘士として戦うことを命じられる。
映画監督ボリス・エイドリアンはアカデミー賞、カンヌ映画祭のパルムドールなどあらゆる賞を総なめにしてきた若き天才。そんなボリスの新たな野望、それはハリウッドの美人女優たちと一流の撮影スタッフで史上最高のポルノ映画を製作することだった。さすがに実現不可能と思われたこの企画だが、プロデューサーのシドは、ヨーロッパの小国リヒテンシュタインから資金を引き出し、映画会社や有名女優をあの手この手で騙し、なんとか撮影開始にこぎつけてしまった。彼らの最終目標は、あらゆるタブーに挑戦する、完全無修正の「ブルー・ムーヴィー」を撮ること!『キャンディ』の著者による官能コメディの最高傑作が、待望の邦訳。
障害レースの最高峰、チェルトナム・ゴールド・カップが行なわれる当日、元騎手の調査員シッド・ハレーは競馬場を訪れ、建設会社を経営する上院議員ジョニイ・エンストーン卿から仕事を依頼された。持ち馬が八百長に利用されている疑いがあるので、調べてほしいというのだ。彼は調教師のビル・バートンと騎手のヒュー・ウォーカーが怪しいという。ハレーは依頼を引き受けるが、その直後、競馬場の片隅でウォーカーの射殺死体が発見された。この日、ウォーカーとバートンが罵り合っているのを多くの人が目撃していた。そしてウォーカーは前夜、ハレーの留守番電話にメッセージを残していた。レースで八百長をするよう何者かに脅されていたらしく、「言うことをきかなければ殺す」と言われたという。やがてハレーは思わぬ経緯でウォーカーの父親から息子を殺した犯人を突き止めてほしいとの依頼を受ける。さらに知人から、ギャンブル法改正によって発生する不正についての調査も任される。こうしてハレーは三つの依頼を抱えることになった。そんな折、警察はバートンをウォーカー殺害容疑と八百長の疑いで逮捕する。彼は証拠不十分で釈放されるが、やがて事件が起きた。そのバートンが自宅で拳銃自殺をしたというのだ。どうしても彼が自殺したとは思えないハレーは、調査を進めていく。だが、卑劣な敵は、ハレーの最大の弱点である恋人のマリーナに照準を定め、魔手を伸ばしてきた!『大穴』『利腕』『敵手』に続き、不屈の男シッド・ハレー四たび登場!巨匠が六年の沈黙を破って放つ待望の競馬シリーズ最新作。
ボストン郊外の私立ハイスクール、ダウリング校で発生した乱射事件。スキーマスクで顔を隠し、二挺ずつの拳銃を持った二人の少年は七人の教師や生徒を射殺し、人質をとって図書室にたてこもった。警察の包囲と説得の末、六時間後にそのうちの一人で生徒のグラントが投降。いつのまにか姿を消していたもう一人、同校生徒のジェレド・クラークも、すぐにグラントの自供により逮捕された。そのジェレドの祖母がスペンサーを訪ねてきた。孫の容疑を濡れ衣と主張する彼女はスペンサーに、事件を調査し、ジェレドの無実を証明してくれと依頼する。現場を訪れ、地元警察と接触し、弁護士と話すうち、スペンサーの嗅覚が小さな疑問を嗅ぎあてた。少年たちの動機や凶器の拳銃の入手経路を誰も追及していないのだ。それどころか、警察も弁護士も少年たちの両親さえも、さっさと事件に幕を引きたがっている。事件の背後に何かが隠されているのか?追及をはじめたスペンサーの前に、まずは地元警察が立ちはだかり、さらには…スーザンもホークも不在のなか、単独で事件に挑む孤高の騎士スペンサー。ますます好調のシリーズ最新作。
2037年、国連平和維持軍の英国人ビセサ、アメリカ人ケイシー、アフガニスタン人アブディカディルは、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯をヘリコプターで監視飛行中、ゲリラの攻撃を受け、見たこともない砦の近くに不時着する。そこは、1885年の大英帝国領インドのジャムルド砦だった。砦には、英国将兵のほか、アメリカ人記者ジョシュ、のちに大作家となる若き英国人記者キプリングがおり、百万年前に絶滅したはずの猿人までが捕まえられていた。さらに、紀元前4世紀のアレクサンドロス大王の軍団が砦に迫りつつあった。いっぽう、2037年に国際宇宙ステーションからソユーズ宇宙船で帰還中の宇宙飛行士たち、ロシア人のムーサとコーリャ、アメリカ人セーブルは、通信途絶のため地上からの支援が受けられなくなっていた。やむをえず自力で着陸した三人が到着したのは、チンギス・ハンの支配する13世紀のモンゴルだった。地球は恐るべき天変地異「断絶」により、200万年にわたるさまざまな時代と土地がキルトのようにつぎはぎされていた。しかも、その異変とともに出現した無数の銀色の球体“眼”が、すべてを観察しているかのように空中に浮かんでいる。この“眼”の正体とは…そして「断絶」はなぜ起こったのか?英国SF界の新旧ふたりの巨匠、クラークとバクスターが、『2001年宇宙の旅』に始まる「宇宙の旅」シリーズを新たな角度から描く「タイム・オデッセイ」シリーズ第一弾。
地獄を滅ぼし、人間たちを粛正する目的で大天使ガブリエルが仕掛けた罠が思わぬ方向に転がり出す。人間、小天使、超能力者、悪霊が入り乱れた戦いに突入する、多次元空間ファンタジー。
重度の障害をもつ美樹、ともに生きようとする悟。彼女を救おうとするあまり、すれちがっていく二人-障害者の夢と現実を描いた小説「薬」と、著者自身の障害について綴ったエッセイ&詩集「私の自立生活」を収録した命の作品集。