2007年10月発売
幾多の激戦の末にスペイン軍を撃破、植民地の軛から中南米諸国を解き放ち、ついに独立へと導いた輝ける将軍シモン・ボリーバル。ラテンアメリカ統合の理想実現に燃えてひた走った英雄は、なぜ失意の迷宮に踏み入らねばならなかったのか?“解放者”と称えられた男。その最後の七ヵ月、コロンビアの大河を暗然と下りゆく死への旅路は。-栄光という闇の深さを巨細に描き切る。
ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っていることが判明したー被害者候補はあと八人いる!だが、いつ、誰が、どこで?尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を擬装して殺されたー事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?史上最強の敵、登場!時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?ドンデン返しに次ぐドンデン返し。あまりに緻密な犯罪計画で読者を驚愕の淵に叩き込む現代最高のミステリー・シリーズ最新作。
自由闊達で洒脱な文化人、反骨の文筆家として文化・文政年間を鮮やかに生き、歴史書『日本外史』で幕末の若者の心を尊皇へと傾けたひとりの男の人生は、父への反抗から始まった。儒家の大家である厳格な父・春水と、父が信奉する幕藩制度への反抗心は青年山陽の心をむしばみ、ついには脱藩を決意させる。自らの欲望を制御できず放蕩を繰り返し、幽閉されても「都に出て文で名をあげる」夢を捨てきれず、京に出て…青年・山陽に翻弄される頼一族。だが、山陽の夢を誰よりも早く理解し、応援したのは母の静だった。文化文政期が生んだ最高峰の文筆家、頼山陽の破天荒な思春期。
父・春水の死後、偉大だった父を乗り越えるべく、幼き日からの夢であった歴史書『日本外史』の執筆・推敲を続けていく山陽。だが、反幕府的な内容をはらむ『日本外史』を世に出すために、権力者におもねることなど、できはしない。一方、そんな山陽を愛し、支え、励ましつづけたふたりの女性-独身を貫き、自ら書画をたしなむ才女・細香と、家庭的で気働きのきく若い妻・梨影。あまりにも対照的なふたりは、山陽に翻弄されつつも、その生き様に当時の女性が知らなかった「自由」の夢をみた…。幕末の歴史を変え、戦後封印された思想家頼山陽の波瀾万丈の生涯!中国新聞に連載され大評判の小説がついに単行本化。
音のでない呼び笛。人には聞こえないが犬には聞こえるゴールトン・ホイッスル。秋津四郎の娘良子はその超音波を捉える聴覚を持っていた。ある冬の朝、愛犬鉄を連れて散歩に出た良子は交通事故で記憶を失う。同じ日、事故現場近くで男性の他殺死体が発見された。そして数日後、良子は何者かに誘拐されてしまう。鉄とともに探索に旅立つ秋津。父と娘を結ぶのはたった一つの犬笛だけだった…父娘の絆を謳った感動の名作復刊。
20歳を迎えた夜、大学生の千尋は特別な呪術能力をもつ一族たちが暮らす孤島に連れ去られ、自分も能力者であること、一族の一人に嫁がねばならぬことを知らされる。花婿候補は三人…優男風メガネ美形の医師、凪、大学の後輩でクールな美貌の漣、和服の似合う古風で端整な照。三人から淫らな秘儀を施され、千尋は快楽の獣となりながら封印されていた力を目覚めさせていく…。繚乱、オカルティックエロス書き下ろし。