2007年12月発売
他の人には見えないけれど、自分には見える。玲香にもそんな経験がある。孤独で寂しかった幼い日、遊び相手だった「あねのねちゃん」。今はそれが想像の産物だと知っているが、当時は唯一の友達だった。ところが失恋を切っ掛けに、OLになった玲香の前に、再び「あねのねちゃん」が現れた。当時の姿、そのままでー。懐かしくて新しい、ファンタジックな“あなたの友達”の物語。
信長の世。バテレンの密送を依頼された船乗り。どうにもならぬしがらみがあり引き受けたものの、行く手には海賊やらキリスト教に厳しい勢力やらが待ち受けている。その上、船ではバテレンがわがままし放題。面倒ごとの尻ぬぐいは全て主人公にのしかかってきて(「バテレン船は沖を漕ぐ」)。他、登場人物に応援と同情をしたくなる上質な七つの物語。
大財閥の伏見家。お屋敷を取り仕切ってきた老執事が倒れ、後任に年若い但馬と平岡の二人が選ばれた。長身で眼鏡、きびきびと仕事をこなす但馬。一方の平岡は、怪しげな噂が絶えない問題児。自分の世話係が、想いを寄せる但馬ではなく、平岡になってしまい不満炸裂の伏見家次男の暁夫は、あの手この手で但馬にアプローチ。強引に結婚宣言を…。執事は燕尾服を着た悪魔!?…ドS萌え・身分違いラブドロップス。
“黄金灯”と呼ばれるランプをオークションで落札してほしい…謎の人物からの依頼でフランスに赴いた骨董商の凌は、パリの街角で実業家の恋人、貴礪と遭遇し動揺する。出張前日に情熱的な愛を交わしてきたばかりの貴礪は、「黄金灯は私が落とす」と不可解な宣戦布告を…。そして迎えたオークション。仮面舞踏会さながらの前夜祭にはやはり貴礪の姿が…。大好評花嫁シリーズ、ロマネスクに彩られた愛の逃避行編。
二十五歳の営業マン清水和也は、携帯のない暮らしなど考えられない完璧な携帯依存症。その彼が、携帯電話を忌み嫌う携帯恐怖症の六人の女と知り合った。彼女たちは、いずれも携帯にまつわる心のトラウマを抱えており、そのうちのひとりが、和也にショッキングな心霊現象を見せつけたうえで重大な警告を発する。「携帯フォビアの誰かがあなたを殺します」と…。やがてその警告は真実となった!犯人は誰?そして殺人の動機は。
昭和十五年。統制令により燃料が軍需主体へと移行しつつあった。岡村寛次郎は、代替燃料として有望な亜炭層が発見された岩手県南部で鉱山開発に着手する。現地で補佐するのは、寡黙だが義に厚い佐忠だった。地元土建業者との確執、外国人鉱夫への嫌がらせ、落盤事故、特高警察の追及…岡村たちに次々と困難が降りかかる。不安な時代を懸命に誠実に生きる男たちの感動物語。