2007年3月15日発売
妹が首を吊った、とイカレた母親からの電話。愉快そうな侵入者は、妹の陵辱ビデオを見せたうえ、レイプ魔たちの愛娘がどこにいるか教えてくれる。僕はスタンガンを手に捕獲を開始。でも街には77人の少女を餌食にした“突き刺しジャック”も徘徊していたー。世界を容赦なく切り裂くメフィスト賞受賞作。
「青空にボールが舞い上がった時、皆がひとつのものを見上げてるってことが俺は好きなんだ」秋田、長岡、大阪、神戸、松山、天草…、野球というゲームにこめられた思いを、やわらかなボールで相手の胸元に届けるように丁寧に描き、出逢いと別れ、生と死の在りようを見つめ直した新境地とも言うべき作品集。
「ルーは死んでなんかいない」愛犬の死を信じられずに探し回る少女が見つけた、時間から取り残されたような古い喫茶店。店の老人がくれた写真には野球のユニフォーム姿の少年が写っていた。大切な相手を失い、悲しみにくれる人々に訪れた奇跡を描いた表題作をはじめ、かけがえのない時間に出逢える作品集。
永年率いた社会人野球の名門チームからの引退を、自ら育てた後輩に告げられた老監督、亡くなった夫の好きだった野球を始めた息子がベンチで試合を見つめる姿に複雑な思いを抱く若い母親、母と自分を捨てて家を出た父親との再会を躊躇う男…。誰にも訪れる切ない瞬間によぎる思いを描いた、直木賞受賞作。
寛政の江戸を跋扈する悪党どもに立ち向かう、若き火盗改・近藤重蔵。猿遣い名人、お高祖頭巾の大年増、鍵言葉に突っ転がし、さらに、重蔵なじみの飯屋に因縁の謀が。世を騒がせる怪事件を、冴え渡る推理で解決する。そして、重蔵の身辺に忍び寄る女の影…。痛快無比、大評判の傑作時代小説シリーズ第三作。
中学生の獅見朋成雄はオリンピックを目指せるほどの駿足だった。だが、肩から背中にかけて鬣のような毛が生えていた成雄は世間の注目を嫌い、より人間的であることを目指して一人の書家に弟子入りをする。人里離れた山奥で連日墨を磨り続けるうちに、次第に日常を逸脱していく、成雄の青春、ライドオン。
十八歳で藩主斉彬の養女となった篤姫は薩摩島津家分家に生まれた学問好きな姫であった。その才覚、器量を見込んだ斉彬は画策の末、篤姫を十三代将軍家定の正室として江戸城に送り込んだ。形ばかりの結婚に耐え、病弱な夫を支え将軍御台所として大奥三千人を見事に統べる篤姫には、養父斉彬の密命が…。2008年大河ドラマ原作。
将軍家定の急死、継嗣をめぐる幕府内の対立、養父斉彬の死。篤姫は、家定との結婚が斉彬の遠大な野望であったことを知り慄然とする。天璋院となったのちも総帥として大奥を統べ、皇妹和宮の降嫁、大政奉還等、激動の幕末を徳川家の人間として徳川宗家のために生き抜いた篤姫の偉大な生涯を描いた歴史長編。
医者を親に持つ僕と羅は、反革命分子の子として山奥で再教育を受けることになった。厳しい労働にもめげず、僕らは仕立屋の美しい娘に恋をした。僕らは禁書のバルザックを手に入れ、その小説世界に夢中になった。親友の羅はバルザックの語る壮大な冒険を、哀しい恋の物語を娘に読み聞かせ、ふたりは親密になっていくが…。文化大革命の嵐が吹き荒れる中国を舞台に、在仏中国人作家がみずからの体験をもとに綴る青春小説。
井の頭公園に湧く水をたどりながら、僕たちは海まで歩くーそれは、永遠の夏休みのはじまりだった。ひととひととがつながりあうミラクル。おだやかな熱に包まれる再生の物語。
深手を負い、記憶を失った青年クリスタを襲った犯人は…?血脈の業がもたらす悲劇の連鎖をアデリエンは断ち切れるのか?ミステリータッチの新しいファンタジー・ノベル。剣と魔法のファンタジーに食傷気味の人に贈る、剣と魔法のファンタジー。
隠岐島に流罪となった後醍醐天皇が旅の途次、美作出雲街道近くのとある小さな村に逗留された。そこには帝も愛でたという壮麗な桜が今に残る。しかし、その桜には村の若い男女の悲しい恋の物語が…。
『解けない絆を』…それは、ボクの祈り。ボク達はいつも普通じゃない生活を求めてしまう。そんな生活は、大変なものである場合が多い。なのにボク達は、こんなにも強く望んでしまう-旅の終わりに訪れる始まりを求めて、ボク達は未来へと歩いてゆく。異世界で紡がれる友情-15歳の感性が光るSF小説。