2007年9月25日発売
銀座のホステス萌子は、「三年足らずで一億五千万になる仕事」という言葉に誘われて偽装結婚した。だが、夫となった稲田教由は高知へと向かうフェリー「しーふらわー号」甲板から転落死を遂げ、萌子をそそのかした当山という男も二年後に事故死した。浅見光彦は、旧友の航海士・堀ノ内から依頼をうけ、稲田の郷里・高知県西土佐村藤ノ川へ。そこで光彦は平家一族の血を引く美少女・佐和と出会い、常ならぬ恋心を抱くのだが…。巨額の保険金を巡る二つの事件の真相は?そして平家の落人伝説で名高い隠れ里に秘められた謎とは?シリーズ随一の名ヒロイン・稲田佐和が登場する不朽の名作、新装完全版。
青蓮寺は執拗に闇塩の道の探索を続け、ついに盧俊義の捕縛に成功した。過酷な拷問を受ける盧俊義を救うため、燕青は飛竜軍とともに救出へ向かう。一方、北京大名府に残る闇塩の道の証拠を回収すべく、宋江自らが梁山泊全軍を率いて出動する。それに対して青蓮寺は、雄州の関勝将軍に出陣の命を出した。宣賛と策を練り、梁山泊の盲点を見極めた関勝が静かに進軍する。北方水滸、極限の第十二巻。
高校の同窓会に出席するため、20年ぶりに帰京した小説家・日能。死んだはずのクラスメイトの女性が生きていたと知り、記憶の齟齬に違和感を覚える『蓮華の花』。主婦殺害容疑者の前夫と現夫、その事件当日のトリックに迫る元刑事の推理が冴える『贋作「退職刑事」』など、全6編を収録。論理的謎ときの愉しみはもちろん、わりきれない人間たちの姿を心理的余韻として残す秀作短編集。
江戸北町奉行同心・笹岡伊織の娘瑞江は、おば様と呼んでいる御年寄職・浦尾の勧めで、大名砥部家奥御殿に奉公へ。否応なく、陰湿ないじめや、長局内の勢力争いに巻き込まれていく。折しも、砥部家に勤める女が役者と起こした心中事件を、伊織が探索することになり…。閉ざされた“女の城”で瑞江が遭遇する不可解な事件の数々。家と血の絆を巡る長編時代ミステリー。
全英オープンテニス選手権大会(ウィンブルドン)のボールパーソンとなったアレックスは、そこでサビーナと出会い楽しく会話を交わす最中、素行の怪しい男を発見。それが大きな事件へと発展する。一方、アレックスの活躍を評価する米国CIAは彼に協力を要請。カリブ海にある旧ソ連の軍人サロフの邸宅へと潜入したアレックスは、サロフから意外な提案を受ける…。絶好調の映画化シリーズ第3弾。
帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。配属は上野警察署。戦災孤児、愚連隊、浮浪者、ヒロポン中毒。不可解な「男娼殺害事件」と「国鉄職員殺害事件」。ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった清二は、跨線橋から転落死する。父の志を胸に、息子民雄も警察官の道を選ぶ。だが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった。ブント、赤軍派、佐藤首相訪米阻止闘争、そして大菩薩峠事件ー。騒然たる世相と警察官人生の陰影を描く、大河小説の力作。
過激派潜入の任務を果たした民雄は、念願の制服警官となる。勤務は、父と同じ谷中の天王寺駐在所。折にふれ、胸に浮かんでくる父の死の謎。迷宮入りになった二つの事件。遺されたのは、十冊の手帳と、錆びの浮いたホイッスル。真相を掴みかけた民雄に、銃口が向けられる…。殉職、二階級特進。そして、三代目警視庁警察官、和也もまた特命を受ける。疑惑の剛腕刑事加賀谷との緊迫した捜査、追込み、取引、裏切り、摘発。半世紀を経て、和也が辿りついた祖父と父の、死の真実とはー。
若くして死んだ母そっくりの継母。主人公は継母へのあこがれと生母への思慕から、二人の存在を意識のなかでしだいに混同させてゆく。谷崎文学における母恋物語の白眉。ほかに晩年のエッセイ四篇を収載。初文庫化。
荒川の河川敷で女性のものとみられる焼け焦げた人骨が発見された。同じ日に新宿で見つかった変死体は、その着衣や所持品に不審な点が多く、身元の割り出しが難航。だが、二つの事件は意外な一点で結びつき、岩海警部補ら警視庁捜査一課は所轄各署との共同捜査に乗り出した。やがて捜査線上に、地下社会に蠢く男たちの悪に運命を翻弄された女の姿が浮かび上がる。直木賞作家が放つ、愛と哀しみのミステリ。
小さなつまずきに大泣きしたり、急にいろいろ嫌になったり。かと思えば突然前向きな気持ちになったり-。ゆるやかに過ぎていく日々が、たまらなく愛しい青春の物語。実家を離れてはじめてのひとり暮らし-ベジタブルハイツ物語2。
藤崎翔は外資系のクレジット・カード会社に勤務する27歳。米国本社の意向による大幅な組織改革=大規模なリストラ計画に飲み込まれた翔は、信頼する上司や同僚たちとともに会社を去り、ベンチャー企業を立ち上げる決意をする。5人でスタートした新会社は「エキノックス」。既成の概念から抜け出した新しいビジネス展開を模索する翔たちだが、なぜか最年少の翔が社長をすることにー。